ユリアン・ナーゲルスマンから学ぶ
さてこのユリアン・ナーゲルスマンとは誰なのか。
ブンデスリーガ史上最年少の28歳でホッフェンハイムの監督に就任し、今季はチームを4位に導いたドイツのトップコーチである。
若い監督による革命が始まったドイツサッカー界。シャルケでは来シーズンから31歳の若者が監督の椅子に座る。
まさに革命。
就任後すぐにチームに変化が訪れる。
ブレーメンがビルドアップの際、CBから左もしくは右のMFにバスが出され、そして、彼らはすぐにボールを真ん中に立っている誰かにパスをした。
これは明らかにチームのプランであった。それも相手に勝つための。
ユリアン・ナーゲルスマン
これはホッフェンハイムの攻撃人によって意図的に作られたシチュエーションでブレーメンはここでボールを失うことになる。つまりホッフェンハイムは真ん中でボールを奪えたことになる。
多くの人はこの状況を見て、ひどいボールの失い方だと罵声を浴びせるかもしれない。
しかし、ユリアン・ナーゲルスマンによれば全て予測のもと、意図されたことのようだ。
これを体感した選手たちに何が起きるだろうか。それは自信と監督への信頼であろう。
4-2-2 or 4-3-3を忘れろ
多くのクラブやチームは固定されたシステムであったり、戦い方やプレーモデルを持っている。これにはメリットとデメリットがある。
メリット⇨全ての選手が戦い方を簡単に理解することができる。
デメリット⇨相手にはわかりやすい。
ナーゲルスマンはどうか?
彼はシステムや戦い方を固定しない。よって相手に戦い方を読まれやすくなり、さらには色々な戦い方を可能とすることから試合中に用意にプランを変更することができる。
私たちはバルセロナではない
ナーゲルスマンはシステムを固定はしないが、プレーの原則はしっかりと決める。
例えばどんなプレーの原則か?
⑴横にプレーしない=前方か体格にプレーする。
横に並んだ選手にパスを出そうとしてそれを相手にパスカットされたら、この2人の選手は一気に置き去りにされてしまう。
⑵ワンタッチプレーをしない
選手たちはバルセロナのような選手たちのように必ずしも技術のレベルが高くない。ワンタッチプレーとボールを止めてプレーする場合ではどちらが成功する確率が高くなるであろう。
試合中に手紙を書く
試合中にどうやってシステム変更をするのか。叫ぶ?叫んでしまっては相手に簡単にわかってしまう。それでは意味がない。ではそうするか?選手に小さなメッセージ付きの紙を渡すのだ。それによって選手たちはより簡単に変更の内容を把握、理解することができるだろう。
オートマチックにプレーしない
トレーニングによってオートマチックにプレーすることが良いともされているがそれはトップの世界ではノーかもしれない。なぜなら相手にとっては読まれやすくなるからだ。相手がそのパターンを防いできたらどうなるか?
脳をトレーニングする
ナーゲルスマンも技術や戦術、フィジカルの向上はもう限界まできていると考えているようだ。そこで彼が取り組んでいるのが脳のトレーニンング、つまり状況判断の向上(スピード、問題解決能力、アイディア)を可能とするトレーニングを行っているようだ。
世界最強ドイツサッカーに学ぶサッカートレーニング術: ゲームに勝つための想像力、素早い状況判断、攻守の切り替えが身につく
- 作者: マヌエルラウルセン,Manuel Laurijssen
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2015/06/01
- メディア: 単行本
常に新しいものを。ただそれは少しずつ
なぜ彼らはトレーニングするのか。何に向かってトレーニングするのか。それは勝つため、向上するためであろう。その中でシーズンを通してそれが可能なプランを構築しないといけないと考えている。
彼は監督としてまだ若い。でもそれはもう関係ないだろう。チームが勝ち、観客が興奮さえすれば。彼から学べることはまだまだあるであろう。
C・ロナウドのブレイン
様々な取り組みのもとコーチやスカウトは常にプロの選手たちを育成してきた。
もしくはその選手たちの未来を潰してきた。
オランダのAZというクラブで新しい取り組みが始まった。
子供たちにテレビゲームをさせるというものだ。これがトレーニングプログラムの一つに組み込まれたのだ。
この取り組みはオランダのトップクラブであるPSVというクラブでも実験が進められているようでその名も『プレインプロフィール』。
ここではサッカー選手特有の能力がゲームをすることによってプロファイリングされていくそうだ。
現在、多くのクラブは選択に迫られているはずだ。限られらた時間の中で、最大の効果を出さなければならない。そん中、彼らはこのトレーニングを選んだわけだ。非常に興味深いことである。子供たちが外で遊ぶことが少なくなったと言われている昨今、それでも彼らはテレビゲームをすることを選手たちに課すことを選択したのだ。
ただ、現時点では
トップの選手たちがここにはいるが、彼らはこのテストで低い点である。
これは機能していないことを意味している。
AZ 育成 Paul Brandenburg
こう考えとこれは投資の何ものでもないであろう。しかし、これが成功すればサッカー界に一石を投じることができるかもしれない。
例えば、コーチやスカウトがあの選手は良い選手だと言ったとしても大体がフィジカルに秀でた選手を指されることが多い。この選手が何年後かにトップの選手でいられていることはそう多くはない。
そこでC・ロナウドの面白い動画(22分頃から)をみて欲しい。
Cristiano Ronaldo tested to the limit HD 720p (Full preview)
どうやらロナウドは一般人に比べて予測・予期する力が長けているようである。
暗闇の中(センタリングが上がりボールを蹴る瞬間、電気が消える)でもシュートを決めてしまうというものだ。
技術や戦術、フィジカルのトレーニングはサッカー界に溢れている。
もう国によって大差はないかもしれない。
日本もこの分野に手を伸ばさなければないないのでは?
手遅れになる前に。
ドルトムント新監督の戦術〜香川真司の行方〜
香川真司が所属するドルトムントは6月6日、2016/17シーズン限りで退任したトーマス・トゥヘル前監督の後任に今シーズン、Ajaxの監督であったPeter Bosz(ピーター・ボス)を招聘することを決定。国外での指揮は、イスラエルのマッカビ・テルアビブ(2015/16シーズン)に次いで2度目。また現役時代にはジェフユナイテッド市原・千葉にも在籍するなど、日本のファンにとっても馴染みのある人物かもしれない。就任記者会見ではドイツ語を流暢に話していた。
さて来シーズン、ドルトムントはどんなサッカーを見せてくれるのか。
Peter Boszは今シーズンAjaxをヨーロッパリーグ決勝に導き、Ajaxに新たなる風を吹き込んだと言われている。そのAjaxの戦術をからPeter Bosz(ピーター・ボス)のサッカーを考えたい。
攻撃的で魅力的なサッカーをして、ゲームに勝つこと。これが彼のAjaxでのビジョン。
これを実現するために彼は守備の構築をすることが先決だと考えたようだ。まずはプレッシング(ボールの奪い方)の方法。Ajaxでは昨シーズン、ベストな方法を探すのに時間がかかりシーズン最初は上手くいかなかった。そう考えるとドルトムントでも初めは上手く行かないかもしれない。それでも彼は良いチームを作ることに変わりはないはずだが。
でもなぜ、プレッシングの仕方を先に構築する必要があるのか。
①Ajaxでは60%から70%ボールをボゼッションすることが可能。
↓
②それに伴いカウンターを受ける可能性が高い
↓
③これを防ぐことができれば、失点することが減る
↓
④失点しなければ試合に負けることはない
確かに理にかなっている。監督としてロジカルに説明できることで選手にもきちんと伝えることができるはずだ。
Peter Boszは4つのことから守備を構成しているようだ。
⑴高い位置からのプレッシング
⑵コンパクトを保つ(フィールドを小さくする)
⑶覆うようにマークする
⑷5秒ルール
⑴高い位置からのプレッシング
このゴールはチームの選手の走行距離が一番少なくなる方法を探し出すことであった。様々な方法を試した結果、このチームに一番フィットした方法は、4-3-3でトップ下を置かずMFを逆三角形の形にして、左ウンイグを相手の右CBと右SBの間に立たせることで落ち着いた。(CFWは左CBに、右ウイングは左SBの前に立つというものだ)
⑵コンパクトを保つ(フィールドを小さくする)&⑶覆うようにマークする
守備の時に選手間の距離を10mから12mに保つように移動し、フィールドを小さくし相手を覆うようにマークをする。
⑷5秒ルール
ボールを奪われた瞬間、後ろに下がるのではなく前に進み相手から5秒以内にボールを奪うというもの。これはポゼッッションのトレーニングで常に取り入れられた。
Positional Game - '3v3 + 3 Offensive Jokers'
Positional Game - '3v3 + 2 Offensive Jokers'
攻撃ありきと言われるオランダサッカー界の中で、指導者経験を積んだPeter Bosz。その中で守備から考える彼のフィロソフィー。ドイツ、ドルトムントでも新たな風を吹き込むことは間違いないであろう。香川真司はどう起用されるのか。もしくは起用されないのか。今後もドルトムントから目が離せない。
Ajax Training Session before the UEFA Europa League Final 2017
サイドバックのの効果的な活用
■目的
攻撃時におけるサイドバックのの効果的な活用。
■オーガニゼーション
・フィールドの半分
・1つの大きなゴールとGK、2つの小さなゴールでGKなし。
・5枚×2色のビブス
・十分なボールをGKの横に設置
■方法論
・5対5+GK
・ボールが出たら、すべてGKからスタート
・2番、5番は点が取れる瞬間のみプレーできる。
・相手チームは大きなゴールにシュートすることができる
■コーチング
・どこにボールがあるのか見る、それと同時に常にフリーな状態でプレーに参加する(フリーになる)
・お互いのポジションに注意を払う
・2番、5番は良いタイミングで高い位置にポジションを取る⇒中盤選手とアイコンタクトしてタイミングを合わせる。
・強くて丁寧なパスを出す
・3番、4番は深い位置の選手を探す⇒ボールを受けてサイドに展開することができる選手
■バリーエーション
・守備側のチームに高い位置からプレッシャーをかけさせる
・タッチ制限をする⇒全ての選手がより速くフリーな状態にならなければいけない状況を作るため
アンリが語るグラウディオラ~3つのP~
元フランス代表、アーセナルやバルセロナでプレーしたアンリが語るペップのサッカー、戦術について。
アンリいわくベップは3つのPを重要視していること。
その3つとはPlay,Possesion,position.
Play⇒サッカーをプレーすること
Possesion⇒ポゼッション
position⇒ポジション
なぜベップのチームはいつもボールが回り、点を取ることができるのか?
ヒントはこの3つのPである。
さらにアンリはアタッキングゾーンでは自由が与えられたと。
点を取るためにゴールの向い、トライすることは全て尊重したのであろう。
PEP GUARDIOLA TACTICAL PHILOSOPHY. WHO WILL HE BRING TO MAN CITY??
パリサンジェルマンのビルドアップ
イブラが去ったPSG。今年のサッカーはどうなるのか?
これはPSGのビルドアップの仕方を紹介した動画。
日本のサッカーを見ていると誰と戦っているかわからなくなるが、
彼らは相手としっかりと戦っている。
それは、相手のフォーメーションによってどうやってビルドアップするのか決定している。
なぜPSGはビルドアップの際、3人でボールを回しているのか?
相手チームのFWの数は?フォーメーションは?
PSG Tactics - Unai Emery Building Up & Positional Play (Tactical Tracking 2D)
太っていても点は取れる? アルゼンチン代表イグアイン
サンフレッチェ広島の指揮官
http://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20151201/375775.html
引用:サッカーキング
選手からこんな声が上がっている。
「トレーニングの質が高く、試合以上の厳しさでやれていることが僕らの強み。いつもピッチに出ている選手の力だけでなく、試合に出ていない選手のおかげで優勝できたと思っています」
「チーム内の競争が常に激しい。誰が出るのか分からない状態を練習からキープできているから、いい化学変化がチーム内で起きた」
森保監督が取った方法論は競争。
「「競争させる」というチームマネジメント。言葉では簡単だが、実行は難しい。競争にベクトルが行き過ぎてコンビネーションがままならなくなり、選択の理由が明確でなければ、ネガティブへと作用しかねない。メンバーを固定させてしまったほうが、マネジメントはやりやすい。」
まさにその通り。
競争させる中で、全員を全て同じ方向に導かなければならない。
現場にいたわけではないので定かではないが、明確で論理的な理論があり、それを浸透させる力、メソッドががあったのであろう。
それは次の言葉から読み取れる
「起用に対して明解な意図が読み取れるから、選手たちから不満は出ない。若手の2部練習も最後まで視察し、練習試合も常に観戦する。監督として多忙な日々を送りながら、若者たちの練習に視線を送り続ける指揮官の姿を見れば、試合に出ていない選手たちのモチベーションも落ちない。」
こんな言葉が出てくるのはもはや全てが上手く行っている証拠。
まさに監督の鏡。
日本代表の監督もそう遠くないかもしれない。
川渕三郎から学ぶリーダー論
川渕三郎から学ぶリーダー論。
日本サッカーの改革者、川渕三郎。
「夢があるから強くなる」
彼ほどのリーダーは日本サッカー界にいるのであろうか。
「リーダーは時に独裁者でいい。しかし、私利私欲を捨てて理念を持たなければ、独裁者になる資格は無い」
「嫌われることを恐れない」
「走りながら考える」
「自信、揺るぎない信念、それを裏付ける根拠、理論武装」
「揺るぎない方向性を出してるから、誰もそれには抵抗できない」
時に傲慢に見えるかもしれないがどれだけの世界を変化させてきたのであろうか。
彼の中にある揺るぎないものを知りたい。
それを少しだけ教えてくれるこの動画。
思うことは、彼には信念があり、夢がある。それを信じて人々を幸せにしたいと思っているのかもしれない。
本当にそれだけなのかもしれない。
「夢があるから強くなる」
日本女子代表 安藤梢選手から学ぶ
チームの目的、チームの文化の構築
チームが成功を勝ち取るためには何が必要ですが?
そのためには何をしますか?
まずシーズン初めにチームごとに監督、コーチ、スタッフ、選手たちで
チームの目的、チームの文化(ルール)を話し合うことが大切です。
このステップはチームビルディングのために必要な第一のステップです。
チームの目的、チームの文化(約束)が話し合われて、初めてそのチームのシーズンが初まります。
これはチーム全員が納得するようでなければなりません。
どんな時もこれを軸に行動したり、問題を解決することが望ましいです。
■約束の構築
日々のトレーニングでは少なからず問題が起きます。そのためにチームの目的、チームの文化(約束)が構築されます。
原則的には良くない振る舞い、稚拙な行動を排除するためのものです。
例えば、何人かの選手が自分が交代選手であるということを理由に、チームのためにプレーしなかったり、真面目にトレーニングしなかった場合、この目標、文化、約束が効果を発揮します。
■チーム文化・約束におけるコーチング例
コーチ:今シーズンは何のためにプレーするの?
選手:攻撃的なフットボールを展開し、最後にはリーグトップ3に入る
コーチ:その目標を達成させるために何が必要?
選手:ハードワーク、チームの忠誠心、全力で取り組む、チーム内の規律
コーチ:オッケー。このことは君たちと私たちとでお互い納得した形で、約束されたものということで良いよね?
繰り返しこういった話し合いの場を設け、お互いに刺激、確認し合いながらチームの文化を育んでいきます。