ネイマールの移籍によって取り戻すバルセロナのサッカー
ネイマールはパリ・サンジェルマンにとんでもない形で移籍することになった。
しかし、この移籍によって本来のバルセロナの形が戻っってくるのではという話がある。新監督バルベルデの就任はフィールドで忠誠を誓わせるという当然の変更だと言えるかもしれないというこだ。
全ての選手は今後、戦術プランの中でプレーしなければならないであろう。おそろく、従来のポゼッションサッカーに戻るであろう。
フランス代表、ティエリー・アンリを覚えているであろうか。彼はフランスのスーパープレイヤーであったことはいうまでもない。しかし、当時の監督、グアルディオラは彼をフィールドの外に出したのだ。なぜかというと彼にはバルセロナスタイル、カタルーニャのサッカーの中で規律を持ってプレーすることができなかったのだ。本当にそうなのか?と疑問にもつ人はいるかもしれないが少なからずグアルディオラの中ではそうであったのだ。
名高いカタルーニャの血
スター選手よりもプレーの原則の方が大切だという考えはここ最近、薄れつつあったのだ。確かにメッシ、ネイマール、スアレスによる攻撃陣のサッカーは魅力的であった。
しかし、ゆっくりとだがカタルーニャ人たちはこの名高いカタルーニャのポゼッションサッカーに名残惜しさを感じ始めていたのだ。ルイス・エンリケもこれには薄々気づき始めており、自分自身では3人の攻撃陣を操りながら、サッカーの質を高めることは困難であると感じていたのは間違いない。バルベルデと共にかつてのバルセロナに戻る準備を始めたのだ。
バルサの秘密
誰しもが知りたいバルセロナの秘密。それを語る上でこれは出発点になるであろう。
フィールドを縦横、共に4等分しているのだ。これによって小さな四角のゾーンが生まれる。その上での重要なキーファクターは3つのPだ。
Positioning, possession, pressure。
まずはポジショニング。ポジショニングはフィールド上でより多くの三角形を作るため、コンビネーションを作るために必要な要素だ。
次はポゼッション。ポゼッションはボールの支配を意味し、バルセロナの選手だからこそ成せる技だ。
最後はプレッシャー。プレッシャーはボールを失った後、ボールをすぐに奪い返すのだ。バルセロナでは3秒ルールが好まれる。
フィールドを分けることはこの3つのPを成功させることを助けると言える。例えばサポートをする時、この小さなゾーンに2人入ってはいけないというものだ。そして、このゾーンを意識し、サイドいっぱいまでを使い、なるべく多くの三角形を作り出すのだ。
ビルドアップの方法(vsレアル、スーパーカップ)としてはCB2人がサイドに開き、ブスケッツが降りてきて3vs2を作る。ここでプスケッツがマークされている場合は数的有利を作り出すために攻撃的MFどちらかが下がってきてビルドアップに参加するのだ。
さらにポイントなるのはメッシのポジションだ。紙の上では右ウイングのメッシ。実際は10番のポジションでプレーするためにスペースを探している。そして、スアレス、右ハーフのラキティッチが右ウイングのスペースを使うことを意識しているのだ。これが新バルセロナの基本形と言える。
簡単に解説した、今回のバルセロナ分析。スーパーカップではあまり良くない結果が出てしまったが、今後どのようなサッカーを見せるのかやはり注目である。
2017/7/26 Barcelona Build up vs Manchester United
守備をするならゾーンディフェンスがオススメな理由
レベルに合わせて2つの守備の方法がある。ゾーンディフェンスとマンマークディフェンスだ。マンマークディフェンスにおいてはそれぞれが目の前の選手をマークして、プレーさせないという責任が与えられる。ゾーンディフェンスでは決められたゾーンをそれぞれが周りと協力しながら守っていくというものだ。それぞれには長所と短所がある。
ヨーロッパでは多くのチームがゾーンディフェンスを使って守備をする傾向にある。
またチームによってはゾーンディフェンスとマンマークディフェンスを使い分けいるチーウがあるのもまた事実である。
監督、コーチとしてここで重要なことはゾーンディフェンスとマンマークディフェンスの特徴を理解し、チームの特徴、レベルに合わせて最も良い方法を選択することが大切である。
1、ディアクションではなくアクション
マンマークディフェンスをする際は、相手のポジションによって自分たちのポジションも作用される。例えば、マンマークディフェンスでは相手の真ん中のMFがサイドに流れた場合、それに伴い真ん中にスペースが生まれてしまう。これは相手チームに主導権があることを実は意味している。しかし、ゾーンディフェンスではこういったことはなく、自分たちが主導権を握ることができる。
2、ゾーンを守る
ゾーンを決定することでいくつかの利点が生まれる。例えば、相手がDFとMFの間にポジションをとった場合、相手にとってはチャンスを作りやすい状況と言える。しかし、ゾーンディフェンスでは守るゾーンを決定し、選手間を短くすることでこの選手へのパスを防ぐことができる。
3、チームで連動
マンマークディフェンスでは自分がマークしている選手にプレーさせないという責任が与えられる。彼にボールを触らせてはいけないのだ。ここで問題なのがこの選手が守備をするのを少し遅れてしまったらここから守備が崩れてしまう可能性があるのだ。しかし、ゾーンディフェンスでは基本的にチームで連動してゾーンを守りながら守備をするためこういった問題が生まれない。お互いにサポートし合うのだ。
4、適切なポジション
マンマークディフェンスをしているチームの選手は、しばしば自分のポジションではないポジションでプレーしなくてはならない状況がきてしまう。例えば相手のSBがオーバーラップしてきた場合、サイドの選手はその選手に付いていくのが鉄則である。この場合、サイドの選手はDFラインに入って守備をしなければならなくなってしまうのだ。ここではサイドの選手は自分の力を発揮できにくくなってしまう。ゾーンディフェンスでは常に自分のポジションからプレーすることができる。
5、効果的なカウンター
全ての選手が自分のポジションでプレーしているためカウンターも有効となる。マンマークディフェンスとは違い常に同じポジションにそれぞれが立ってプレーしているため、プレー原則(カウンターに必要なアクション)を実行しやすい。マンマークディフェンスでは毎回、立っているポジションが違うため共通理解の元、カウンターを実行することが難しいと言える。
6、ボールの周りの数的有利
マンマークディフェンスにおいて1vs1に勝ち、ボールを前に運ぶことは難しい。ゾーンディフェンスでは相手にボールを回されてしまう短所はあるが、ボールを奪うことができればこれが逆に長所となる。マンマークディフェンスではボールを奪った瞬間、相手がすぐに近くにいるが、ゾーンディフェンスでは相手はすぐ近くにはおらず、かつ選手間での距離が常に一定なため、ボール付近では数的有利な状態になりやすいのだ。
7、パニックになりにくい
マンマークディフェンスでは相手に付いていく守備で基本的に多くのポジションで1vs1の状況が生まれているはずだ。例えば、相手がこの守備を崩すためにポジションチェンジを繰り返したり、数的優位を作り出すために果敢に1vs1を仕掛けてきたら、たちまちこの守備のバランスは崩れてしまうであろう。そうすることでチームはパニックに陥ってしまうのだ。
8、エネルギーの温存
マンマークディフェンスでは相手に付いていき、かつディアクションのため自分たちが守ることを決めることができるゾーンディフェンスよりもエネルギーを消費しやすいと言える。かつ、ボールを奪うことに成功し攻撃に移る場合でも常に自分のポジション、チームのバランスが取れた状態で攻撃できることから無駄なエネルギーを消費する必要がないのだ。
なぜレアル・マドリードが強いかがここからもヒントがあるかもしれない。
5秒ルール 攻撃から守備への切り替え
5秒ルールという言葉を知っているであろうか。
多くのチームでこのルールが適用されている。
攻撃、守備、攻撃から守備への切り替え、守備から攻撃への切り替えの4つのモーメントの内の攻撃から守備への切り替えの際に使われるものである。
5秒ルールとは、ボールを奪われた後、5秒以内にボールを奪い返すというものだ。
なぜ5秒ルール?
ボールを奪われた瞬間は実は、ボールを奪い返すのに最も良い瞬間であるとも言える。なぜなら、この瞬間、敵チームはまだ脆弱である。どういうことかと言うと敵チームがボールを奪った瞬間、敵チームは攻撃の準備をするために選手が動き直しをし始めるからである。
ボールを奪われた場所で5秒ルールは発動される。この周辺に立っていた3、4人の選手がボールにプレッシャーをかけはじめ、なるべくフィールドを小さくするのだ。
Principe balverlies + 5 secondenregel
そして、相手の縦パス、プレーの前進を防ぐのだ。
それに伴い残りの選手たちもフィールドを小さくし、選手間の距離を短くして全体をコンパクトに保つのだ。
多くのプレー原則
サッカーの世界において多くのプレー原則がある。このプレーの原則はチームのプレーモデルに合わせてチームにアジャストした形で使用される。また、チームのレベルにも夜であろう。例えばグアウディオラのバルセロナでは3秒ルールが適用された。ここで最も大切なことはボールを奪われた瞬間は最もチャンスな瞬間でもあると言うことだ。そのためにこの時間を短くできればより良いと言える。(敢えて相手に5秒の時間を与えて奪い、得点しやすくするという考えもある。)
チームレベルに合わせて6秒、7秒と設定することも悪いことではなく、あくまでもチームに合わせることが大切である。
5秒ルールのポイント
- 時間は各チームのレベルに合わせて調整する。
- ボールを失ったポイントに近い選手、3人、4人がすぐにボール、敵にプレッシャーをかける
- どこでボールが取れるかを予測し、相手に与えるスペースを小さくする。
- 相手がボールを奪い、攻撃の準備をし始めることは、逆にチャンスである。よってこの瞬間により速く、アグレッシブにアクションを起こす。
- より速くボールを奪うことはエネルギーと時間の消費を少なくする。なぜなら、守備をする時間が減るからである。
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ビエルサの金言
どのように良いサッカー選手を育成しますか?
サッカーの世界において選手がたくさん必要である。そこには非常に大きなお金が動いている。しかし、良い選手は不足している。そこでどのように選手は生まれる?
正しく遺伝的な構図がなければ偉大な選手は生まれないと述べるビエルサ。
さらにアカデミーは選手を育成するというのは言うまでもない。しかし、トレーニングだけではトップの選手を育成することは難しい。そこには遺伝的な要素が絡んでくるのだ。しかし、そこにアプローチしているクラブは決して多くはない。
タレントは試合で直面する問題を解決することができる選手のことを指す。80%のプロサッカー選手はタレントではない。この選手たちはタレントが問題を解決するようなことを手にとり、抱えたがる。しかし、彼らの能力ではその問題を解決することはできない。だからこそ、サッカーにはアイドルと言うものが必要なのだ。それは、才能のない選手たちが真似できるようにするためである
育成アカデミー
ビエルサは育成において8歳から12歳、13歳から18歳の2つのブロックにおいて分けるべきだと考えている。1学年を9ヶ月(リールのアカデミーではバケーションと準備期間があり、この期間は含まれいない)と考え、週に4回トレーニングしたとする。そうすると5年間で720回のトレーニングプログラムが必要だと考えるのが普通だと考えているようだ。そうなるとクラブはトレーニング1からトレーニング720までが必要であると言える。
ビエルサは170のトレーニングを持っているようだ。そこにはサッカーの動きが全て含まれているのだ。
例えばボールを前に運ぶというアクションに対して彼の分析から全部で26パターンあり、そこで彼は26の異なったトレーニングの形があり、そこで起きる全てのことを説明できるそうだ。育成においてはこういったことを各ブロックに含めなければいけないと考えているようだ。
ビエルサ10の金言
最後にビエルサ10の金言を紹介したい。
- 美しいサッカーが結果の犠牲になることは非常にくだらないことだ。結果ばかり追い求める人は懲らしめられなければならない。
- 選手は自動的に行動してはならない。彼は学び、そして忘れなければならない。アクションは常に行われ続け、必要な時にサッカーが生活に入り込まなければならない。
- 攻撃的な真ん中のMFの選手を欠くフォーメーションはサッカーに不可欠な何かを欠いている。
- サッカーにおいては10の戦術で成り立っている。アカデミーでこの10の戦術を学ばなければならない。
- パスを常に斜めに出されなければならない。なぜなら、ゴールに背を向けてボールを受けた場合すぐにプレーすることはできず、すぐにボールを奪われてしまうだろう。
- サッカーの監督としてプレースタイルを選択しなければならない。守備において2つの方法を選ぶことができる。それは待ちながらコントロールするか推測するかである。個人的には相手が前にボールを運ぶのに時間を費やさせるよりも前からボールにプレッシャーをかけることを好む。
- フィールドを小さくすることは簡単である。そこでは良い選手は必要ない。フィールドが制限されていることで問題を解決することを学ぶことはより難しくなる。
- 良いパスはバウンドせず、地面を滑る。
- 全てはタレントの側で始まる。タレントは誰も導けないような答えを与えてくれる。
- 信憑性はコーチ、監督が持たなければならない不可欠な質だ。私たちが提案することは湧き出る感情とある確信から来ている。確信させることはコーチにとって大切なものの一つである。
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リール、ビエルサは最高のスタートを切ったのか?
今シーズンやっとビエルサはサッカー界に戻ってきた。誰もが驚いたであろうビエルサのリール就任。そのリールは開幕戦でラリエリ(前レスター監督)率いるナントに3−0で勝利を収めたのだ。
そのリールのサッカーについて振り返りたい。
3−3−1−3
リールのフォーメーションは3ー3ー1ー3であった。これはある程度予想ができたフォーメーションであったがいくつかバリエーションが見られた。
守備時にはウイングバックが下がり、5バックの形を作り、守備に安定さをもたらしたのだ。攻撃時にはトップ下の選手が前線まで上がり、4トップのような形を形成することがたた見られた。
ウイングバックの役割も多少異なっていた。右のウイングバックMalcuitはサイドに開いてプレーする右ウイングのEl Ghaziの攻撃を助けるため、オーバーラップしたり、El Ghaziとの距離を縮めすぐサポートできる位置にポジションを取っていたのだ。
さらに重要な役割を担っていたのが守備的MFのThiago Mendes。フィールドを広範囲に動き、ボールを受けながら左右のウイングの選手にボールを供給していたのだ。
ナントのウニエリは4−4−2を採用。全体をコンパクトに保ちながら攻守の切り替えを速くし攻撃を仕掛けるサッカーを展開。
後ろからの組み立て
リールの攻撃のキーポイントとして後ろからの組み立てがあげられる。
この試合ではリールのGKがペナルティーエリアから出て、3人のDFとナントのFW2人に対して4vs2の状況が作れるように積極的にポゼッションに参加したのだ。
そして、ボールを前線に運ぶためにウイングバックがサイドに開き、ボールを受けれるようなポジションに立っていた。その際、左ウイングは内側に絞ってプレーすることが多かったが、それとは対照的にEl Ghaziはサイドに開いてサイド側でプレーすることが多く見られた。
写真でもわかるようにナントFW2人に対して、4vs2を形成、この状況ではGKはCBにパスをすることを選択。そして、このCBはそのままボールを受けて、前進。
広く深く
今回の試合でキーポイントなったのはリールの選手たちが広く深い位置にポジションを取ったことだ。それによってナントの4−4ー2というフォーメーションにとって非常に難しい状況ができてしまったのだ。
そして、ボールが前進すると以下のような形を取って攻撃を仕掛けて行くのだ。
左ウイングが内側に絞り、左ウイングバックがサイドに開く。
ボールを持った右ウイングバックはそのままドリブルして相手の状況を伺うか、右ウイングにパスを出し、オーバーラップするかそのまま後ろのサポートに入るのだ。
シンプルに危険なゾーンへ
写真を見て、一目瞭然であろう。コンパクトな守備をしてくるナントに対して非常にシンプルに危険なエリアにボールを供給していくのだ。そして、右のウイングバックも攻撃に参加して、数的有利を作りだし、攻撃を厚くしていくのだ。
Lille vs Nantes │PARTIDO COMPLETO HD │06/08/17 │Ligue 1 2017/18 (Fecha 1)
結論
この試合を見る限り、ビエルサのサッカーがリールの選手たちに浸透していることは間違いないであろう。ビエルサはただ自分のサッカーを当てはめているだけでなく、選手の特徴を掴み活かすために戦術を組んでいる。特にEl Ghaziなどはそうであろう。彼は内側に絞ってプレーするよりもサイドに開き、そこでボールを受けて勝負がしたい選手である。これこそサッカーと言えるであろう。
今後のビエルサ、リールに目が離せない。
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ビエルサはなぜ影響力があるのか?後編
前回の続きである。
前回はこちら。
ピッチ内外でのインテンシティ
リール就任にあたってビエルサはリールの2人の男のビジョンに魅了されたようだ。
一人はGerard Lopez。彼はLotus F1チームのトップであった。
そして、もう一人はMarc Ingla。彼は元バルセロナの副社長であった。
Marc Inglaは2008年にグアルディオラのバルセロナの監督要請のために動いた人物で、ビエルサとの仕事はこの最高の思い出を思い出させてくれると語っている。
ビエルサは時々、彼が持っている熱狂さでベップとの思い出を思い出させてくれる。熱狂的に指導することはストレスを生む。しかし、それは全ての人を後押し、全ての些細なことまでよくしてしまうのだ。
右ウイングのEl Ghaziはこう述べている。
ビエルサは少し異なっている。彼はアグレッシブで人々に叫ぶ。しかし、それから少し彼は静かになるのだ。ビエルサは選手たちの限界のリミッターを外してくれる。例えば、自分の体脂肪率がビエルサのトレーニングによって10、11%から8%に変化したのだ。私たちは本当によくトレーニングする。これは肉体的にも精神的にもハードである。トレーニングもAjaxで経験してきたものとは少し異なる。私はトレーニング時にポゼッショントレーニングをせず、試合のようなゲームをすることはあまり多くはない。
リサーチ、リサーチ、さらにリサーチ
ビエルサはゲーム分析をすることで有名である。リールにはすでにそれが影響を与え始めている。
今シーズン、マルセイユからマンチェスターシティに移籍したBenjamin Mendyはこう述べている。(マルセイユ時代にビエルサから薫陶を受ける)
ビエルサは私に今まで見たことのないようなビデオを見せてくれた。
始めの頃、私はそのビデオを見ながら寝てしまったのだ。しかし、彼は幸せそうだったのだ。さすがにこれには驚いた。
そこで私は寝ることをやめて、2分間だけは見ようと決心したのだ。お互いに話しあい、私はビエルサに前に進みたいと告げたのだ。その後、ビエルサはわざと私に興味のないビデオを見せていて、私に興味のないことにも目を向けて欲しかったのだと教えてくれたのだ。
ビエルサがビルバオの監督に就任した時、彼は昨シーズンのビルバオの試合を全てチェックしたようだ。そして、マルセイユの時も昨シーズンの試合をチェックしてレポートにまとめあげたようだ。
スリリングなサッカー
チリ代表では3ー3ー1ー3で攻撃的でハイプレッシャーなサッカーを展開した。
2012年マンチェスター・ユナイテッドのサポーターたちはビルバオに拍手喝采だった。
Inglaはこうも述べている。
ビエルサと共にであれば、魅力的なサッカーをするということを言うことに対して、決して恥ずかしがる必要はない。このスタイルはスペクタクルで攻撃的で勝利可能なスタイルである。彼は私たちのプランを遂行してくれることを信じている。私たちはスペクタクルなサッカーで群衆を興奮させ、驚かせたい。
若い才能を発見し、チャンスを与える。
シーズン始めの試合の平均年齢は23歳であった。その中で26歳が最高年齢だった。
彼は経験ある選手を横に置きながらも若い選手にチャンスを与えるのだ。これはトットナムの監督、ポチェッティーノに影響を与えている。
2014年マルセイユ在籍時にビエルサはBenjamin Mendy(マンC)に関して、
冗談を言っているように聞こえるかもしれないが、彼は世界最高のバックスになるであろう
と述べている。そしそ、彼は今シーズン£52mでマンチェスターシティに移籍を果たしたのだ。
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ビエルサはなぜ影響力があるのか?前編
グアルディオラ(マンC)とポチェッティーノ(トットナム)は今シーズン、ライバルとなるのは目に見えている。プレミアリーグのトップを走るが両監督が口を揃えていうことがあるそれは、
「ビエルサこそが世界最高の監督である」
グアルディオラのメンター、ポチェッティーの父
グアルディオラは2006年に彼の下を訪れている。
彼への賛辞は計り知れない。彼はより良い選手を育成する、多くのアドバイスによって選手を助けるのだ。彼はリールで選手、クラブに大きな影響を与えるであろう。
また、ポチェッティーノは彼はアルゼンチンのMurphyという町で生まれ、ビエルサを訪れたのは14歳の時だった。
彼は私にとってサッカーの父のようであった。私たちと同じ世代の監督たちは皆、ビエルサの弟子のようである。私たちに備わっている情熱は、彼から受け継いだものである。
Jorge Sampaoli (アルゼンチン代表監督)、 Diego Simeone (アトレティコ監督)、Gerardo Martino(アトランタ監督)、 Eduardo Berizzo(セビリアヘッドコーチ)は全てビエルサの影響を受けている。
神秘的で予測不可能
ビエルサは多くのファンやジャーナリストから神秘的な存在として見られている。なぜなら、彼の単独インタビューは全くなく、試合前後の記者会見しか彼の意見が聞けないからである。
そして、予測不可能である。
イタリア、ラツィオと契約を交わした2日後には契約解除、フランス、マルセイユでは2シーズン目の最初のゲームのあとにまたもや契約を解除している。
トロフィーの欠如
彼のトロフィーの少なさから考えると彼は本当に世界一の監督と言えるだろうか。
国内リーグ3度の優勝と2004年のオリピック優勝(アルゼンチン代表)で他のタイトルと比較することができるだろうか。
しかし、グアルディオラはこう言っている。
私たちはどれだけのトロフィーを獲得したかで評価される。どれだけサッカーに影響を与えたのか、どれだけ選手に影響を与えたかではなくて。私は今だかつて彼から影響を受けたことはなかったという選手にあったことがない。彼は間違いなく、サッカーに、選手に影響を与えているのだ。
ベッドルームにエアコンと電源だけ
今年のリールはビエルサの影響でサッカーだけでなく、生活そのものが変わっている。
まず、ビエルサはリールにバンガローを20個、建てることを要求した。
ウイングであるAnwar El Ghaziによると、トレーニングはまず10時から行われ、その次は18時半に行われるそうだ。そして、ここで皆で食事を取り、ここで全てのことをするのだという。
この20個のバンガローそれぞれにはベッドルームとエアコン、電気の電源しかないのだ。選手たちがシャワーを浴びたい場合は他の部屋に行かなければならない。
そこで選手たちはプレイステーションやテーブルテニスなどをして共に時間を過ごしているのだ。
ビエルサはこう選手たちに問いかけるそうだ。
今日から私たちはファミリーになりたかったのだ。隣合わせで共に寝て、共に食べ、共に遊ぶ。そうすることでファミリーになれる。君たちは兄弟だ。
後編に続く。
ソル・メディア footballista255号グアルディオラとビエルサ再び
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ドイツ革命の続き ナーゲルスマンがもたらしたもの
ドイツの若い監督たちは今までの監督たちとは少し勝手が違う。
その台頭はユリアン・ナーゲルスマンであることは言うまでもない。
ナーゲルスマンが監督に任命されたこと対して、メディアの多くが経験がない監督をなぜ抜擢?リスクが高すぎるといって批判をしていた。
しかし、実際は違ったのだ。
ナーゲルスマンは見事にサッカーの監督という職業に年齢や経験は関係ないと証明したのだ。ドイツに新しいロールモデルを作り出したのだ。
まさにベービーモウリーニョである。(もはやこれは失礼かもしれない。)
ブンデスリーガでプレーしたことは一度もない。
どこの国でも年齢、経験の問題はあるであろう。ナーゲルスマンの監督任命と活躍にも関わらずこの問題から目を背けている国やサッカー協会は多く、この事例を疑った目で見ているのであろう。しかし、ドイツはいち早くこの問題に目をつけたのだ。
ヨルゲン・クロップを見て欲しい。彼は平凡なDFでブンデスリーガでプレーしたことはない。しかし、ドルトムントと共に、彼は大きく成功を収めたのだ。そして、その後ドルトムントで指揮をとったトゥヘルムも同じケースだ。彼もブンデスリーガでプレーしたことはない。
ドイツ人ではないがバイエルンの監督、カルロス・アンチェロッティ(イタリア人)も高いレベルでプレーしたことはないのだ。
こうやって見ると監督をするにあたって選手として高いレベルでプレーしていることは必ずしも必要ではないと言えるであろう。この4人の監督がこれを証明してくれているわけだ。
3年から4年前までは育成のトップコーチがトップチームの監督をするというケースは本当に稀なケースであった。これは多くのクラブでは素晴らしい組織の元、育成チームも含めてほぼ同じ、プレーモデルで選手たちにプレーさせていることもこのパターンが成功した理由とも言える。
さらに今の監督で結果が出なくなれば、また育成チームから監督を昇格させることができる。それによってその監督も選手もスムーズにチームに溶け込むことができる。
予算と時間がかからないことも大きなメリットなわけだ。
指導者育成プログラム
ナーゲルスマンのような監督の出現は決して偶然ではない。これにはドイツサッカー協会が大きく関わっている。
多くの国ではプロの選手経験者が指導者ライセンスの順番待ちをしているのが現状だ。さらにこのライセンスコースを受講するにはかなりの費用が必要である。しかし、ドイツでは全ての指導者にチャンスがあり、費用も約9000€で他の国と比べるとこれは高くないことがわかる。ライセンスを受ける前に3日間に渡ってインテリジェンスと指導レベルのチェックのテストが行われ、成績優秀者のみが残り、ライセンスコースを受講できるような仕組みになっているのだ。
ただでさえ強いドイツがさらなる高みを目指し、改革を進めている。
果たして日本は?
世界は凄いスピードで進んでいる。
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ユリアン・ナーゲルスマンのイノベーション
開幕間近のブンデスリーガ。その中で、最も注目されていると言っても過言ではないホッフェンハイム。その監督は、ユリアン・ナーゲルスマン。最近、30歳になったばかりである。
そのユリアン・ナーゲルスマンについて改めて掘り下げたい。
イノベーション
ナーゲルスマンは選手が良くなる方法を常に模索している。
現在、ホッフェンハイムのトレーニング場には、18平方メートルの電子パネルモニターが設置されている。これに関して、ナーゲルスマンはこう述べている。
トレーニング中に起こった問題をそこですぐに解決することができる。Ipadを手に持ち、そのIpadと電子パネルモニターは繋がっており、すぐに映像を見せることができる。
さらにナーゲルスマンはトレーニング中にドローンを使ってビデオ分析をするというテストも行っている。
Hoffenheim scrap 'distracting' training drone plan - chief executive Gorlich - ESPN FC
実際のところ、選手たちの気が散るということで早々にこの実験を中止している。
さらに香川真司が所属するドルトムントも使用しているFootbonautもトレーニングの中に取り入れている。
Footbonaut - High-Tech Training bei der TSG Hoffenheim
さらにこれもトレーニングの中に取り入れている。その名もHelix。
Bundesliga Women Enter the Helix
ここで、認知の力を養うことができるのだ。
トレーニング哲学
サッカーのトレーニングにおいても他のコーチ、監督とは考え方が違うようだ。
その方法論はトレーニング時に多くのバリエーションを提供するというものだ。
決まったパターンはなく、常に新しい優遇措置、ルール、負荷がかかるのだ。
退屈さからは学ベることはなく、もしトレーニングがルーティーン化してしまったら学べることは少なくなってしまうと考えているのである。
アシスタントコーチのAlfred Schreudeはあるインタビューでこう述べている。
選手たちがトレーニングを理解した時には、すでに私たちは次のトレーニングを提供している。トレーニングではストレスがかかるような状況を与えている。例えば、ポゼッショントレーニング。フィールドの各辺にミニゴールを起き、そのゴールを色分けしてセッティングしておく。守備側の選手がボールを奪ったら、コーチがある色を叫び、守備側の選手たちはその色のゴールにシュートをするというものである。
Hoffenheim's training pitch is split into zones to teach positional tactics. Probably why Julian Nagelsmann is so highly regarded! pic.twitter.com/TtedcZsTs0
— UNILAD Football (@UNILADFooty) 2017年5月13日
Mal was anderes im #Hoffenheim-Training. Julian Nagelsmann lässt im Kreis auf 3 Tore spielen pic.twitter.com/eKAZseeuUj
— BILD 1899 Hoffenheim (@BILD_Hoffenheim) 2017年7月31日
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アレックス・ファーガソンのレッスン
伝説の監督、前マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン。
そこでアシスタントコーチとして6年間働いていたRene Meulensteenを知っているか?
この間、プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、クラブワールドカップのタイトルを獲得している。
そんなRene Meulensteenから見たアレックス・ファーガソンの話。
ヴィジョン
目的は勝つこと。しかし、それもあるスタイルで勝つことである。ファーガソンが彼をトップアシスタントに任命した時の話である。
「私はあなたにあなたのセッションについて話す必要はない、あなたは全て知っている。しかし、私は私が見たいものについては改めて話したい。ポゼッションは重要だが、これは常に目的がついてなければならない。私たちが攻撃する時、私はテンポ、パワー、前に進入、予測不可能なサッカーが見たい。この4つのことをあなたはトレーニングのセッションに注ぎ込まなければならない。」
さらにファーガソンは育成することを提唱していた。これは育成年代の施設と政策へ投資をして、さらに彼らにチャンスを与えることを意味していた。そして、自前の選手がトップチームの上がれる可能性があれば、すぐにファーガソンはチャンスを与えたのである。
委任
ファーガソン体制においては様々なエキスパートが存在した。テクニカル、ストレングス、コンディション、メディカル、分析とに分けていたのである。
ファーガソンはハイレベルでこのマネージメントを成し遂げた。彼は様々な仕事を委任して、それを監督したのである。彼は常にチームをコントロールしていたが、スタッフに対してはできる限りの自由が与えられた。スタッフを信頼していたことになる。
正しい環境をクリエイトする
Rene Meulensteenは6年間を改めて振り返った時に、ファーガソンと働いてほとんどプレッシャーというものを感じなかったようだ。常に心地が良い状態で仕事ができたのだ。難しい状況はあったものの、すぐにその状況を把握し、問題が解決できるようにすぐに実行したのである。
受け入れる力
ファーガソンは常に受け入れる耳を持っていた。テクノロジー分野が参入してきたり、ビデオ分析の分野が参入してきても常に受け入れ、そのスタッフが試すことを承諾した。これは非常に特別なことで、マンチェスター・ユナイテッドでこれを行うことは非常に困難であったに違いない。しかし、この力があったからこそあんなにもファーガソン政権は続いたのかもしれないと言える。
ファーガソンの役割はチームを進化させ、そのチームに流れる時間を変化させることだったのである。
決定できる
重要なことを決定しなければならない時、彼は常に決定してきた。
そこでファーガソンは素早くかつ迅速に決定を下せる人間だったのだ。どんな状況が来たとしても恐れることななかったのだ。
信念 75%と25%
ファーガソンは常に言っていた。
我々のアプローチは75%と25%。75%は自分たちに関してのこと、そして25%は相手チームに関してのこと。なぜなら、私たちはマンチェスター・ユナイテッドだから。
常にユナイテッドがどのように良くなり、強くなるのかを考え続けてきたのだ。
ユーモア
働くにおいてはファーガソンは恐ろしい男だとよく言われる。しかし、これは真実ではない。彼は毎日、働くことを楽しませてくれていたのだ。
マンチェスター・ユナイテッドに来るような選手は偉大で能力が高く、自分で何かができてしまう。そんな選手と仕事をすることはそんなに容易なことではない。
そんな中、彼は知らせること助けることをしていたのだ。決して教えるというスタンスではなかったのだ。
トレーニングにおいて全てのステップを教えるのではなく、オプションを選ばせていたのだ。そうすることで彼らは進化していくと考えていたのだ。
ファーガソンの周りでは常に笑いが絶えず、毎日笑いながら仕事をしていたのだ。
引用
移籍の意味
この時期になるとヨーロッパでは、移籍市場が慌ただしくなる。選手、クラブ共に落ち着かないであろう。
そこにはネイマールのようなとてつもない移籍金が発生し、移籍することがあるかもしれない。
ネイマール バルセロナでのラストゴール!#NeymarPSG #neymartransfer #neymaar #ネイマール #バルセロナ https://t.co/ygGzFMWYLV
— トップコーチ (@topcoach2017) 2017年8月4日
ネイマールの移籍金に言及するモウリーニョ「高すぎるとは思わない」(ゲキサカ)- Yahoo!ニュース https://t.co/Zz5W9NwSut
— トップコーチ (@topcoach2017) 2017年8月5日
ただ忘れてはならないのは、若い選手がステップアップのために移籍、もしくは契約が更新されずに移籍するケースもあるということだ。実際にこの移籍は選手のキャリアにどう影響するのであろうか。
移籍市場
世界的にみて多くの移籍はフリーで、大きなお金が動くことはそうない。約75パーセントの移籍が契約満了か解雇である。残りのケースがネイマールのような移籍や若い選手がステップアップによって生まれる移籍であり、そこにはクラブに利益が生まれる。基本的には外国に渡ることが多い。
オランダ事情
少し勢いが落ちているオランダ。かつての育成大国の現状はいかなるものか。
5年間でどれだけの選手が外国に渡ったかという調査がある。
この調査によると約5%が19歳以下の選手で、21歳から23歳の選手が主に海外に活躍を求め海を渡っている。26歳、27歳の選手は国に残り、オランダリーグでトップ選手として活躍している。21歳から23歳の選手たちの移籍先は在籍していたクラブよりもレベルが落ちるクラブに移籍することが多いという事実があった。
在籍クラブよりも良いクラブにいくのは、19歳以下のトップの選手だけであったのだ。
プレー時間の減少
試合のプレー時間は選手の成長に欠かせない要素である。
Ford, P.R., Ward, P., Hodges, N.J., & Williams, A.M. (2009). The role of deliberate practice and play in career progression in sport: The early engagement hypothesis. High Ability Studies, 20, 65 75.
移籍後、この選手たちに何が起こっているのであろう。
実は多くの選手のプレー時間が移籍する前に在籍していたクラブでのプレー時間よりも少なくなってしまったという事実があったのだ。
チャンピオンズリーグへの道?
オランダでは半分の選手が一日だけでもチャンピオンズリーグに立てている。
このデータは移籍によってチャンピオンズリーグに到達した選手だけではなく、そのクラブに在籍続けたことでそのチャンスが巡ってきた選手の数も含まれている。
ただ、オランダにおける移籍事情を見てみると良いクラブ(ECI数値の高いクラブ)への移籍はあまり多くなく、仮に移籍した場合においてもプレー時間が短くなってしまっている現状がある。
移籍するということは夢があり、成長できる可能性を秘めているが、そこには多くのリスクがあることも忘れてはならない。
そうなると移籍先を選ぶことは本当に慎重にならなければならず、お金だけを見ていたらその後のサッカーキャリアに大きくマイナスになってしまうであろう。
【坂井大将選手 AFC Tubizeへ期限付き移籍のお知らせ】
— 大分トリニータ【公式】 (@TRINITAofficial) 2017年8月3日
大分トリニータの #坂井大将 選手がAFC Tubize(ベルギー2部)へ期限付き移籍することが決定いたしましたのでお知らせいたします。
頑張れ‼️ダイスケ🇯🇵🇧🇪https://t.co/B9wtqhRj8I pic.twitter.com/c5DA2bobEO
サッカーの監督がクビになると何が起きる?
サッカー界においては結果が全てで、結果が出なければクビになるのが当たり前だ。
なんとも厳しい世界である。
では実際に監督がクビになり、新しい監督がやってきた後、何が起きるのであろうか。
このテーマに関してある調査結果がある。
監督解任後、何が起きる?
引用:Hope, C. (2002). When should you sack the manager? Results from a simple model applied to the English Premietship.
縦軸→新しい監督が獲得した平均勝ち点
横軸→新しい監督が指揮を取った試合数
短い縦線→その新しい監督がまた解任された瞬間
プロセス
新監督が就任して2〜5試合においては平均獲得勝ち点が高い数値を示してしる。これは監督解任によって生まれた驚きとフレッシュな風がチームに入ったことが原因と考えられる。その後、下降しそのまま横ばいとなる。これは30試合〜40試合まで続く。ここでは新監督の戦略、戦術の浸透させ、監督、コーチ、選手ともにお互いを知る、理解する時期となり、それによって勝ち点が思うように拾えないことが考えられる。
時間と共に、監督解任における効果、チーム、選手の気持ちに落ち着きが見られるようになる。
この座標からは見えないこと
この座標から見えないことは、新監督と解任された監督との比較である。新監督と旧監督とでは30〜40試合における結果にどのような違いがあるであろうか。この比較は大変重要なポイントである。その比較結果によっては新しい監督を探さなければならないかもしれない。こういった比較をしているクラブ、チームはあるのであろうか。
Euro Club Index
Euro Club Index – The Ultimate Club Football Ranking
Hypercube Business Innovationという会社があるデータを作成した。
(オランダ語のようで実際よくわからない。)
このECI(Euro Index club)はチームの強さを数値化したもので、UEFAランキング(昨シーズンと今シーズンの勝ち・負けの数によって算出)とも比較される。また、ECIではホーム、アウェー、敵チームの強さも考慮される。
チームが強ければECIの数値は高く、弱ければ低くなるのである。これによって新監督と旧監督とのチームを比較できるのではないかという話である。
そこで調査チームはこの数値を失ったかどうかで監督を解任するかどうかを考えることが良いのではないかと提案してる。
200ECI
上の図を見て欲しい。横線はECIの点数獲得の数値となりる。ここでは詳しい内容は不明だが、この研究チームによるとECIの数値がー200となれば監督解任を考えるべきだと述べている。
つまり、単純に監督解任を考えるのではなく、こういったデータの比較によって監督を続投させるのか解任するのかを判断することの方が、世界で戦う場合良いのではないかという提案である。