サッカーは監督だ

トップの監督になるために必要な情報を集めたプラットホーム。日本のサッカーが発展することを願って。

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ライプツィヒ戦から分析するシャルケのサッカー

 

今シーズン、シャルケは新たに若い監督を迎え入れた。

シャルケの全ての人間はまた、チャンピオンズリーグに戻ることを期待しているであろう。一体、新監督に就任したテデスコとは誰なのか?

テデスコはシュトゥットガルトホッフェンハイムのユースで監督を務めた後、今年3月にブンデスリーガ2部で最下位に沈んでいたアウエの指揮官に就任。残り11試合を6勝2分け3敗の成績で乗り切り、チームを劇的な残留へと導いていたのだ。シャルケの会長ハイデル氏はテデスコについて、

「経験こそ少ないかもしれない。しかし、彼の将来のビジョンを聞いて納得した。どれほどのクラブが、彼のような若くて革新的な監督にチャンスを与えるだろか。我々はクラブ幹部全員がこの決断を支持している」

と語っている。

ちなみに彼はイタリア人である。イタリア語、ドイツ語はもちろん英語、スペイン語を話すことができる。近年、語学能力はサッカー界においては重要性がより増している。これはテデスコにとって大きなアドバンテージであることは間違いないであろう。

ブンデスリーガでのオープニングゲームを勝利で収めたシャルケ、ファンの期待は高まるばかりである。

ドメニコ・テデスコは3−4−3で最初のゲームに挑んだのだ。

ウイングバックはウイングのポジションでプレーすることもあったが、主に守備を中心にプレーをしていた。ライプツィヒがボールを持った場合、シャルケは5−4ー1もしくは4−5−1のような形を取り、対応しているのが見て取れた。

3人のDFと2人のセントラルハーフは必ず数的有利な状況を作り、相手の攻撃を抑え込んでいた。

さらにシャルケは意図的にサイドにボールを回させ、サイドに入った瞬間にボールを奪いに行くのだ。これがテデスコのサッカーと言っても良いかもしれない。ここでシャルケの選手に与えられているのが自分のゾーンをしっかりと守るということだ。

ゲームの序盤からペースを握っていたのはライプツィヒで彼らはシャルケのDFからFWまでの距離を伸ばそうとボールを動かし、時折、シャルケのDFとMFの間のスペースに選手が入り込み、シャルケを迷わし、チャンスを作り出していた。

ライプツィヒのようなチームと戦う場合、全体をコンパクトにし、相手にスペースを与えないことが一つのオプションとなる。シャルケはこれをしっかりと修正し、全体をコンパクトに保ち、プレーするスペースを与えなかったのだ。

 

上々の滑り出しを見せたシャルケ、守備におけるオーガニぜションは非常にポジティブなもので構造的にライプツィヒ対策もしっかりと行われていた。

ドイツの新しい流れを組むテデスコ。ナーゲルスマンと共に目が離せない。

topcoach.hateblo.jp

月刊フットボリスタ 2017年8月号

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レアルマドリードのIT革命

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レアルマドリードのIT革命を知っているであろうか。

あの巨大な企業、Microsoftと2015年に提携を果たしているのだ。

この提携によって450百万人以上のファンにさらならサービスを提供できるようになったと言われている。このファンにレアルマドリードへの情熱、レアルマドリードがある生活をより提供できるようになったのだ。

より多くのサポーター情報

最高経営責任者であるJosé Ángel Sánchezはレアルマドリードのファンがどのような人たちなのかを知ることを非常に不可欠なことだと述べている。


Microsoft and Real Madrid: The New Playing Field is the World

これによってファン一人一人とのコミュニケーションがより円滑に進むようになったとされる。450百万人以上のファンの5パーセントはスペインからであることがわかったのだ。実はアメリカやインドネシアではスペインよりも多くのファンが存在するとされている。さらに中国にも多く存在し、中国へのマーケティングが今後重要な鍵を握っているとされる。

国によってアプローチの方法を変えることは非常に重要なことであるが、それは非常に困難なことでもある。しかしながらMicrosoftとの提携によって少しずつ変化してきているようである。

デジタルサービス体制

レアルマドリードはMicrosoftに対してファンへのデジタルサービス体制について向上を求めており、開発、成長を促しているようだ。これによってファンだけではなく、選手たちやクラブのスタッフにも新たなる形を提供している。

それを少し具体的に見てみよう。

1、Fan Engagement Platform

マーケティングオフィスエンジンの解決である。スタジアムへのモバイルチェックインシステム、ファンプロフィールのオンラインアップデート、購入したオンラインの記事などのファンとの相互作用のデータがここに集められ、保存されるのだ。また、ここのはクラブが発信した情報やソーシャルメディアの情報も集められ、保存されるのである。

2、Video Platform

レアルマドリードの最新試合から過去の試合までを集めたビデオプラットホームである。さらにファンが選んだビデオからそれに関連したビデオがまた提案される仕組みになっているのである。

3、Consumer App

対話式のモバイルアプリケーションで、スタジアムまでのアクセス方法や選手情報、試合のスタッツなどが見れるのである。

4、Telemetrie en Data Analyse

ファンを通して使われたアプリケーションからダイレクトの問題を転送できる機能である。これによってデジタルサービスの向上に役立つ情報がすぐに手に入るようになっているのだ。テレメトリの概要

 

レアルマドリードを創っているのはサッカーだけではなく、サッカーに関わる全てによって作られているのだ。

 

 

サッカーにおけるデータ

今、多くの会社ではデータを集めることに躍起になっている。それはサッカーの世界でも同じある。

Premier League stats

 

しかし、ここで常に問われていることがある。それは、このデータをどう使うのかということである。

データは新たなるオイル

マーケット研究者であるClive Humbyは「データは新たなるオイルだ」と述べている。

https://www.cisco.com/c/dam/en_us/about/ac79/docs/sp/Information-Infomediaries.pdf

とはいってもどの業界、会社においてもサッカー界と同じでデータを扱うことは非常に難しいとされている。ある研究では10%から15%の会社ではデータを研究し、取り入れることで平均的に20%も業績結果が上がるとされている。

https://whatsthebigdata.com/2012/08/05/gartner-on-big-data/

サッカーにおけるデータ

サッカーにおいてはトレーニング、試合、選手それぞれの個人データ、スカウティングなどに利用されている。特に今後、注目で集まろうであるものはスカウティング分野かもしれない。今までこの分野に関してどのようにアプローチされてきたのであろうか。おそらくスカウトマンの経験であろう。経験からこの選手は活躍できる、成長できると判断され、プロの世界へと連れていかれる。このデータは公に公表はされていないが果たして効果の程はどの程度なのか疑問が残るところである。そこでデータを個人ベースで集め、測定し、どんな選手がプロの世界で活躍できるのかを調べていくのだ。

予測分析

スカウトの分野だけではなく、予測分析という分野もあるのだ。これによって選手の未来の成長が予測できるのだ。例えば、これによってバイエルンのロッペンのような経験のある選手の怪我も含めた成長曲線を分析することが可能である。データを集めることでロッペンが怪我をするタイミングを予測することができるのだ。また、ロッペンのデータを使い、それぞれの選手と比較することで成長できるかについて予測も可能となる。

クラブマネージメント

サッカーの結果による成功が全てではないサッカービジネス。

ソーシャルメディアを通してファンとコミュニケーションを取り、可能な限りチケットを売り、ファンにマーチャンダイジング(マーチャンダイジング - Wikipedia)を与えなければならない。そして、アプリケーション、従業員、契約、ライセンスの分野についても成長させなければならないであろう。

IBMやSAPはこの分野に乗り出し、クラブのマネージメントを全面的にサポートして管理している。彼らはこの分野のデータをリアルタイムに計測し、分析することができるのだ。現在のトップスポーツではクラブ、選手、ファンが複雑に絡みあっている。よってリアルタイムに分析できることは決断をする際に非常に役に立つわけだ。

 

 

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ナポリvsニースのゲーム分析

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先週行われたチャンピオンズリーグの予備予選ナポリvsニースのゲームを振り返りたい。ナポリの基本フォーメーションは4−3−3、そしてバロテッリ、オランダ代表のスナイデルを迎え入れたニースは5−3−2であった。

左サイドの制圧

ナポリのの左サイドの攻撃は多くのチームによって面倒である。ニースもその例外ではなかった。

はじめにニースの2FWはナポリのDFがボールを持った際、あまりサイドのスペースにプレッシャーをかけることはなく、ハーフスペースと言われるポジションに立つことが多かった。そこではナポリの守備的MFへのパスコースを塞ぐように意識していたようだ。よってナポリがサイドでボールを持った場合、ニースのウイングバック、サイドのMFによって状況を見ながらプレッシャーがかけられた。しかし、そこでニースの選手は噛み合わせ的に長い距離を走らなければならなかった。

lineups

しかし、これを最大限に利用するのがナポリである。

意図的に速いテンポでボールを左サイド(左サイドバック)に運んだのだ。それによってニースの選手間に混乱、ズレが生まれたのだ。ウイングバックがプレッシャーをかけるのか、それともサイドハーフがプレッシャーをかけるのかということだ。

ウイングバックがプレッシャーをかける場合、この選手は非常に長い距離を走らなければならない。サイドハーフがプレッシャーをかける場合、マークの受け渡しが必要となりナポリの選手がフリーでプレーできてしまう場合が生まれてしまうわけだ。

 

それだけでは終わらないのが今のナポリである。 left side

 ナポリのCBがボールを持った場合、左サイドバックが可能な限り、高い位置を取り、左ウイングが内側に絞り(SBとCBの間に立つ)、左ハーフも高い位置に(MFとCBの間)立つことで混乱を生んでいるのだ。

 

右のブラインドサイドの動き

さらなるナポリの脅威は右サイドの動きである。ナポリの左サイドばかりに注目が集まるがそれをうまく利用しているのが右サイドの攻撃である。

左サイドで攻撃が展開されている間にこの右ウイングはニースの左SBと左CBの間に気づかい間にすっと入り、 彼らをさらに迷わせているのだ。

ハーフスペースのカバー

一般的に5−3−2フォーメーションの弱点はハーフスペースの扱いである。両方のハーフスペースに相手のMFがいるとこの選手へのマーク、守備が非常に難しくなるのだ。 

ナポリは何度かこのアドバンテージを活かしている場面が見られた。 ball-far

 

今回はここまでにしたい。CLリーグ出場を決めたナポリ。これからもイタリア

のバルセロナから目が離せない。


2017/8/1 Napoli build up vs Atletico


Napoli Tactical Analysis - Build Up Play taster

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6歳のウォーミングアップ

サッカーをちょうど始めるであろう6、7歳のウォーミングアップトレーニングについて紹介したい。この年代の特徴はこちら。

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トレーニング1

Warming-up; ballendans

◆オーガニゼーション

1、四角のグリットを作り、真ん中にボールをおく。

2、ボールの数をトレーニングをする選手よりも一つ減らす。

3、選手たちはコーチの合図と共に、ボールを拾いにいきそのままグリットからドリブルしながら出る。

4、コーチは毎回ボールを集めさせ、毎回一つずつボールを減らしていく。

◆ルール

ドリブルしてグリットの外に出たら勝ち。ボールのない選手はボールを奪っても良い。

◆コーチングアクセント

・素早く反応する

・合図と共にボールを触れなかった場合、すぐに切り替えてボールを奪いにいく。

◆難易度の調整

・グリットの大きさを変える。

・コーチが参加する。

トレー二ング2

Warming-up; dribbelkoning

◆オーガニゼーション

1、指定された1人の選手がボールを奪いにいく(黄色)。

2、黄色の選手以外は全員がボールをもつ。

3、黄色の選手はボールをグリットの外に蹴り出す。

4、最後の1人になるまで行う。

◆コーチングアクセント

・黄色の選手から逃げろ。

・黄色の選手を騙す。

◆難易度の調整

・フィールドの大きさを変える

・ボールを奪いにいく選手の数を増やす(黄色の選手)。 

・コーチがボールを奪いにいく。

トレーニング3

Warming-up; fluitspel

◆オーガニゼーション

1、全ての選手がボールを持ってグリット内に入る。

2、グリット内でドリブルする。

3、コーチの合図と共に決められたアクションを実行する。(タブルタッチ、シザースななど)

◆コーチングアクセント

・完璧なプレーを心がける。求める。

・アクションを実行した後、トップスピードになる。

・顔をあげ、人に当たらないようにする。

トレーニング4

Warming-up; het afstandenpass spel

◆オーガニゼーション

1、上のような形でグリットを作る。

2、マーカーを結んで3本のラインを引く

3、真ん中の大きなコーンに近い線から、そのコーン目がけてボールを蹴る。

4、一番はじめに3つのライン全てからボールを当てた選手が勝ち。

◆コーチングアクセント

・良い形でボールを止める。

・正確にインサイド、インステップで蹴る。

・バウンドさせない。

◆難易度の調整

 ・グリットの大きさを変える。

・距離を伸ばす。 

 トレーニング5

Warming-up; het dribbel en drijftikspel

◆オーガニゼーション

1、15x10mのグリットを作る。

2、全ての選手がボールを持つ。

3、2人の選手が鬼となる(黄色)。この選手は他の選手をタッチする

4、他の選手はタッチされないように逃げる。

◆ルール

鬼にタッチされたら、グリットの外に出る。もしくはボールがグリットを出てもそれ以上は参加できない。一番速く全ての選手をグリットの外に出た鬼のペアが勝ち。

◆コーチングアクセント

・状況を良く観察する

・お互いを助け合う(タッチされそうな状況で他の選手があえてタッチされやすいようにボールを運ぶ)

◆難易度の調整

 ・フィールドの大きさを変える

・時間制限を設ける。

 

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ネイマールの移籍によって取り戻すバルセロナのサッカー

ネイマールはパリ・サンジェルマンにとんでもない形で移籍することになった。

しかし、この移籍によって本来のバルセロナの形が戻っってくるのではという話がある。新監督バルベルデの就任はフィールドで忠誠を誓わせるという当然の変更だと言えるかもしれないというこだ。


Neymar last goal at Barcelona

全ての選手は今後、戦術プランの中でプレーしなければならないであろう。おそろく、従来のポゼッションサッカーに戻るであろう。

 

フランス代表、ティエリー・アンリを覚えているであろうか。彼はフランスのスーパープレイヤーであったことはいうまでもない。しかし、当時の監督、グアルディオラは彼をフィールドの外に出したのだ。なぜかというと彼にはバルセロナスタイル、カタルーニャのサッカーの中で規律を持ってプレーすることができなかったのだ。本当にそうなのか?と疑問にもつ人はいるかもしれないが少なからずグアルディオラの中ではそうであったのだ。

名高いカタルーニャの血

スター選手よりもプレーの原則の方が大切だという考えはここ最近、薄れつつあったのだ。確かにメッシ、ネイマール、スアレスによる攻撃陣のサッカーは魅力的であった。

しかし、ゆっくりとだがカタルーニャ人たちはこの名高いカタルーニャのポゼッションサッカーに名残惜しさを感じ始めていたのだ。ルイス・エンリケもこれには薄々気づき始めており、自分自身では3人の攻撃陣を操りながら、サッカーの質を高めることは困難であると感じていたのは間違いない。バルベルデと共にかつてのバルセロナに戻る準備を始めたのだ。

バルサの秘密

誰しもが知りたいバルセロナの秘密。それを語る上でこれは出発点になるであろう。

フィールドを縦横、共に4等分しているのだ。これによって小さな四角のゾーンが生まれる。その上での重要なキーファクターは3つのPだ。

Positioning, possession, pressure。

まずはポジショニング。ポジショニングはフィールド上でより多くの三角形を作るため、コンビネーションを作るために必要な要素だ。

次はポゼッション。ポゼッションはボールの支配を意味し、バルセロナの選手だからこそ成せる技だ。

最後はプレッシャー。プレッシャーはボールを失った後、ボールをすぐに奪い返すのだ。バルセロナでは3秒ルールが好まれる。

topcoach.hateblo.jp

 フィールドを分けることはこの3つのPを成功させることを助けると言える。例えばサポートをする時、この小さなゾーンに2人入ってはいけないというものだ。そして、このゾーンを意識し、サイドいっぱいまでを使い、なるべく多くの三角形を作り出すのだ。

ビルドアップの方法(vsレアル、スーパーカップ)としてはCB2人がサイドに開き、ブスケッツが降りてきて3vs2を作る。ここでプスケッツがマークされている場合は数的有利を作り出すために攻撃的MFどちらかが下がってきてビルドアップに参加するのだ。

 

さらにポイントなるのはメッシのポジションだ。紙の上では右ウイングのメッシ。実際は10番のポジションでプレーするためにスペースを探している。そして、スアレス、右ハーフのラキティッチが右ウイングのスペースを使うことを意識しているのだ。これが新バルセロナの基本形と言える。

簡単に解説した、今回のバルセロナ分析。スーパーカップではあまり良くない結果が出てしまったが、今後どのようなサッカーを見せるのかやはり注目である。


2017/7/26 Barcelona Build up vs Manchester United

 

バルセロナフィジカルトレーニングメソッド

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リオネル・メッシ(MESSIGRAPHICA)

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  • 作者: サンジーヴシェティ,関麻衣子
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グアルディオラ総論

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  • 作者: マルティ・ペラルナウ,木村浩嗣
  • 出版社/メーカー: ソル・メディア
  • 発売日: 2017/05/16
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守備をするならゾーンディフェンスがオススメな理由 

Acht voordelen van verdedigen in de zone

 レベルに合わせて2つの守備の方法がある。ゾーンディフェンスとマンマークディフェンスだ。マンマークディフェンスにおいてはそれぞれが目の前の選手をマークして、プレーさせないという責任が与えられる。ゾーンディフェンスでは決められたゾーンをそれぞれが周りと協力しながら守っていくというものだ。それぞれには長所と短所がある。

ヨーロッパでは多くのチームがゾーンディフェンスを使って守備をする傾向にある。

またチームによってはゾーンディフェンスとマンマークディフェンスを使い分けいるチーウがあるのもまた事実である。

監督、コーチとしてここで重要なことはゾーンディフェンスとマンマークディフェンスの特徴を理解し、チームの特徴、レベルに合わせて最も良い方法を選択することが大切である。

1、ディアクションではなくアクション

マンマークディフェンスをする際は、相手のポジションによって自分たちのポジションも作用される。例えば、マンマークディフェンスでは相手の真ん中のMFがサイドに流れた場合、それに伴い真ん中にスペースが生まれてしまう。これは相手チームに主導権があることを実は意味している。しかし、ゾーンディフェンスではこういったことはなく、自分たちが主導権を握ることができる。

2、ゾーンを守る

ゾーンを決定することでいくつかの利点が生まれる。例えば、相手がDFとMFの間にポジションをとった場合、相手にとってはチャンスを作りやすい状況と言える。しかし、ゾーンディフェンスでは守るゾーンを決定し、選手間を短くすることでこの選手へのパスを防ぐことができる。

3、チームで連動

マンマークディフェンスでは自分がマークしている選手にプレーさせないという責任が与えられる。彼にボールを触らせてはいけないのだ。ここで問題なのがこの選手が守備をするのを少し遅れてしまったらここから守備が崩れてしまう可能性があるのだ。しかし、ゾーンディフェンスでは基本的にチームで連動してゾーンを守りながら守備をするためこういった問題が生まれない。お互いにサポートし合うのだ。

4、適切なポジション

マンマークディフェンスをしているチームの選手は、しばしば自分のポジションではないポジションでプレーしなくてはならない状況がきてしまう。例えば相手のSBがオーバーラップしてきた場合、サイドの選手はその選手に付いていくのが鉄則である。この場合、サイドの選手はDFラインに入って守備をしなければならなくなってしまうのだ。ここではサイドの選手は自分の力を発揮できにくくなってしまう。ゾーンディフェンスでは常に自分のポジションからプレーすることができる。

5、効果的なカウンター

全ての選手が自分のポジションでプレーしているためカウンターも有効となる。マンマークディフェンスとは違い常に同じポジションにそれぞれが立ってプレーしているため、プレー原則(カウンターに必要なアクション)を実行しやすい。マンマークディフェンスでは毎回、立っているポジションが違うため共通理解の元、カウンターを実行することが難しいと言える。

6、ボールの周りの数的有利

マンマークディフェンスにおいて1vs1に勝ち、ボールを前に運ぶことは難しい。ゾーンディフェンスでは相手にボールを回されてしまう短所はあるが、ボールを奪うことができればこれが逆に長所となる。マンマークディフェンスではボールを奪った瞬間、相手がすぐに近くにいるが、ゾーンディフェンスでは相手はすぐ近くにはおらず、かつ選手間での距離が常に一定なため、ボール付近では数的有利な状態になりやすいのだ。

7、パニックになりにくい

マンマークディフェンスでは相手に付いていく守備で基本的に多くのポジションで1vs1の状況が生まれているはずだ。例えば、相手がこの守備を崩すためにポジションチェンジを繰り返したり、数的優位を作り出すために果敢に1vs1を仕掛けてきたら、たちまちこの守備のバランスは崩れてしまうであろう。そうすることでチームはパニックに陥ってしまうのだ。

8、エネルギーの温存

マンマークディフェンスでは相手に付いていき、かつディアクションのため自分たちが守ることを決めることができるゾーンディフェンスよりもエネルギーを消費しやすいと言える。かつ、ボールを奪うことに成功し攻撃に移る場合でも常に自分のポジション、チームのバランスが取れた状態で攻撃できることから無駄なエネルギーを消費する必要がないのだ。

 

なぜレアル・マドリードが強いかがここからもヒントがあるかもしれない。

あきらめない勇気

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月刊フットボリスタ 2017年9月号

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footballista Zine ARSENAL

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5秒ルール 攻撃から守備への切り替え

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5秒ルールという言葉を知っているであろうか。

多くのチームでこのルールが適用されている。

攻撃、守備、攻撃から守備への切り替え、守備から攻撃への切り替えの4つのモーメントの内の攻撃から守備への切り替えの際に使われるものである。

5秒ルールとは、ボールを奪われた後、5秒以内にボールを奪い返すというものだ。 

なぜ5秒ルール?

ボールを奪われた瞬間は実は、ボールを奪い返すのに最も良い瞬間であるとも言える。なぜなら、この瞬間、敵チームはまだ脆弱である。どういうことかと言うと敵チームがボールを奪った瞬間、敵チームは攻撃の準備をするために選手が動き直しをし始めるからである。

ボールを奪われた場所で5秒ルールは発動される。この周辺に立っていた3、4人の選手がボールにプレッシャーをかけはじめ、なるべくフィールドを小さくするのだ。


Principe balverlies + 5 secondenregel

そして、相手の縦パス、プレーの前進を防ぐのだ。

それに伴い残りの選手たちもフィールドを小さくし、選手間の距離を短くして全体をコンパクトに保つのだ。 

多くのプレー原則

サッカーの世界において多くのプレー原則がある。このプレーの原則はチームのプレーモデルに合わせてチームにアジャストした形で使用される。また、チームのレベルにも夜であろう。例えばグアウディオラのバルセロナでは3秒ルールが適用された。ここで最も大切なことはボールを奪われた瞬間は最もチャンスな瞬間でもあると言うことだ。そのためにこの時間を短くできればより良いと言える。(敢えて相手に5秒の時間を与えて奪い、得点しやすくするという考えもある。)

チームレベルに合わせて6秒、7秒と設定することも悪いことではなく、あくまでもチームに合わせることが大切である。

5秒ルールのポイント

  1. 時間は各チームのレベルに合わせて調整する。
  2. ボールを失ったポイントに近い選手、3人、4人がすぐにボール、敵にプレッシャーをかける
  3. どこでボールが取れるかを予測し、相手に与えるスペースを小さくする。
  4. 相手がボールを奪い、攻撃の準備をし始めることは、逆にチャンスである。よってこの瞬間により速く、アグレッシブにアクションを起こす。
  5. より速くボールを奪うことはエネルギーと時間の消費を少なくする。なぜなら、守備をする時間が減るからである。
バルセロナが最強なのは必然である グアルディオラが受け継いだ戦術フィロソフィー

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グアルディオラ・メソッド―勝利に導くための61の法則

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ビエルサの金言

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どのように良いサッカー選手を育成しますか?

サッカーの世界において選手がたくさん必要である。そこには非常に大きなお金が動いている。しかし、良い選手は不足している。そこでどのように選手は生まれる?

正しく遺伝的な構図がなければ偉大な選手は生まれないと述べるビエルサ。

さらにアカデミーは選手を育成するというのは言うまでもない。しかし、トレーニングだけではトップの選手を育成することは難しい。そこには遺伝的な要素が絡んでくるのだ。しかし、そこにアプローチしているクラブは決して多くはない。

タレントは試合で直面する問題を解決することができる選手のことを指す。80%のプロサッカー選手はタレントではない。この選手たちはタレントが問題を解決するようなことを手にとり、抱えたがる。しかし、彼らの能力ではその問題を解決することはできない。だからこそ、サッカーにはアイドルと言うものが必要なのだ。それは、才能のない選手たちが真似できるようにするためである

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育成アカデミー

ビエルサは育成において8歳から12歳、13歳から18歳の2つのブロックにおいて分けるべきだと考えている。1学年を9ヶ月(リールのアカデミーではバケーションと準備期間があり、この期間は含まれいない)と考え、週に4回トレーニングしたとする。そうすると5年間で720回のトレーニングプログラムが必要だと考えるのが普通だと考えているようだ。そうなるとクラブはトレーニング1からトレーニング720までが必要であると言える。

ビエルサは170のトレーニングを持っているようだ。そこにはサッカーの動きが全て含まれているのだ。

例えばボールを前に運ぶというアクションに対して彼の分析から全部で26パターンあり、そこで彼は26の異なったトレーニングの形があり、そこで起きる全てのことを説明できるそうだ。育成においてはこういったことを各ブロックに含めなければいけないと考えているようだ。

ビエルサ10の金言

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最後にビエルサ10の金言を紹介したい。

 

  1. 美しいサッカーが結果の犠牲になることは非常にくだらないことだ。結果ばかり追い求める人は懲らしめられなければならない。
  2. 選手は自動的に行動してはならない。彼は学び、そして忘れなければならない。アクションは常に行われ続け、必要な時にサッカーが生活に入り込まなければならない。
  3. 攻撃的な真ん中のMFの選手を欠くフォーメーションはサッカーに不可欠な何かを欠いている。
  4. サッカーにおいては10の戦術で成り立っている。アカデミーでこの10の戦術を学ばなければならない。
  5. パスを常に斜めに出されなければならない。なぜなら、ゴールに背を向けてボールを受けた場合すぐにプレーすることはできず、すぐにボールを奪われてしまうだろう。
  6. サッカーの監督としてプレースタイルを選択しなければならない。守備において2つの方法を選ぶことができる。それは待ちながらコントロールするか推測するかである。個人的には相手が前にボールを運ぶのに時間を費やさせるよりも前からボールにプレッシャーをかけることを好む。
  7. フィールドを小さくすることは簡単である。そこでは良い選手は必要ない。フィールドが制限されていることで問題を解決することを学ぶことはより難しくなる。
  8. 良いパスはバウンドせず、地面を滑る。
  9. 全てはタレントの側で始まる。タレントは誰も導けないような答えを与えてくれる。
  10. 信憑性はコーチ、監督が持たなければならない不可欠な質だ。私たちが提案することは湧き出る感情とある確信から来ている。確信させることはコーチにとって大切なものの一つである。

 

 

Marcelo Bielsa - Coaching Build Up Play Against High Pressing Teams

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La vida por el futbol / Life for soccer: Marcelo Bielsa, el ultimo romantico / Marcelo Bielsa, the Last Romantic

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  • 出版社/メーカー: Debate Editorial
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  • メディア: ペーパーバック

 

リール、ビエルサは最高のスタートを切ったのか?

今シーズンやっとビエルサはサッカー界に戻ってきた。誰もが驚いたであろうビエルサのリール就任。そのリールは開幕戦でラリエリ(前レスター監督)率いるナントに3−0で勝利を収めたのだ。

 

そのリールのサッカーについて振り返りたい。

3−3−1−3

 

リールのフォーメーションは3ー3ー1ー3であった。これはある程度予想ができたフォーメーションであったがいくつかバリエーションが見られた。

守備時にはウイングバックが下がり、5バックの形を作り、守備に安定さをもたらしたのだ。攻撃時にはトップ下の選手が前線まで上がり、4トップのような形を形成することがたた見られた。

 

ウイングバックの役割も多少異なっていた。右のウイングバックMalcuitはサイドに開いてプレーする右ウイングのEl Ghaziの攻撃を助けるため、オーバーラップしたり、El Ghaziとの距離を縮めすぐサポートできる位置にポジションを取っていたのだ。

 

さらに重要な役割を担っていたのが守備的MFのThiago Mendes。フィールドを広範囲に動き、ボールを受けながら左右のウイングの選手にボールを供給していたのだ。

 

ナントのウニエリは4−4−2を採用。全体をコンパクトに保ちながら攻守の切り替えを速くし攻撃を仕掛けるサッカーを展開。

 

後ろからの組み立て

リールの攻撃のキーポイントとして後ろからの組み立てがあげられる。

この試合ではリールのGKがペナルティーエリアから出て、3人のDFとナントのFW2人に対して4vs2の状況が作れるように積極的にポゼッションに参加したのだ。

 

そして、ボールを前線に運ぶためにウイングバックがサイドに開き、ボールを受けれるようなポジションに立っていた。その際、左ウイングは内側に絞ってプレーすることが多かったが、それとは対照的にEl Ghaziはサイドに開いてサイド側でプレーすることが多く見られた。

写真でもわかるようにナントFW2人に対して、4vs2を形成、この状況ではGKはCBにパスをすることを選択。そして、このCBはそのままボールを受けて、前進。

広く深く

今回の試合でキーポイントなったのはリールの選手たちが広く深い位置にポジションを取ったことだ。それによってナントの4−4ー2というフォーメーションにとって非常に難しい状況ができてしまったのだ。

 

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そして、ボールが前進すると以下のような形を取って攻撃を仕掛けて行くのだ。

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左ウイングが内側に絞り、左ウイングバックがサイドに開く。

ボールを持った右ウイングバックはそのままドリブルして相手の状況を伺うか、右ウイングにパスを出し、オーバーラップするかそのまま後ろのサポートに入るのだ。

 

シンプルに危険なゾーンへ

写真を見て、一目瞭然であろう。コンパクトな守備をしてくるナントに対して非常にシンプルに危険なエリアにボールを供給していくのだ。そして、右のウイングバックも攻撃に参加して、数的有利を作りだし、攻撃を厚くしていくのだ。

 

 


Lille vs Nantes │PARTIDO COMPLETO HD │06/08/17 │Ligue 1 2017/18 (Fecha 1)

 

結論

この試合を見る限り、ビエルサのサッカーがリールの選手たちに浸透していることは間違いないであろう。ビエルサはただ自分のサッカーを当てはめているだけでなく、選手の特徴を掴み活かすために戦術を組んでいる。特にEl Ghaziなどはそうであろう。彼は内側に絞ってプレーするよりもサイドに開き、そこでボールを受けて勝負がしたい選手である。これこそサッカーと言えるであろう。

 

今後のビエルサ、リールに目が離せない。

 

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topcoach.hateblo.jp

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ビエルサの狂気―知られざる戦術マニアの素顔

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ビエルサはなぜ影響力があるのか?後編

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前回の続きである。

 

前回はこちら。

topcoach.hateblo.jp

 

ピッチ内外でのインテンシティ

リール就任にあたってビエルサはリールの2人の男のビジョンに魅了されたようだ。

一人はGerard Lopez。彼はLotus F1チームのトップであった。

そして、もう一人はMarc Ingla。彼は元バルセロナの副社長であった。

 

Marc Inglaは2008年にグアルディオラのバルセロナの監督要請のために動いた人物で、ビエルサとの仕事はこの最高の思い出を思い出させてくれると語っている。

ビエルサは時々、彼が持っている熱狂さでベップとの思い出を思い出させてくれる。熱狂的に指導することはストレスを生む。しかし、それは全ての人を後押し、全ての些細なことまでよくしてしまうのだ。

右ウイングのEl Ghaziはこう述べている。

ビエルサは少し異なっている。彼はアグレッシブで人々に叫ぶ。しかし、それから少し彼は静かになるのだ。ビエルサは選手たちの限界のリミッターを外してくれる。例えば、自分の体脂肪率がビエルサのトレーニングによって10、11%から8%に変化したのだ。私たちは本当によくトレーニングする。これは肉体的にも精神的にもハードである。トレーニングもAjaxで経験してきたものとは少し異なる。私はトレーニング時にポゼッショントレーニングをせず、試合のようなゲームをすることはあまり多くはない。

リサーチ、リサーチ、さらにリサーチ

ビエルサはゲーム分析をすることで有名である。リールにはすでにそれが影響を与え始めている。The Chilean national team

今シーズン、マルセイユからマンチェスターシティに移籍したBenjamin Mendyはこう述べている。(マルセイユ時代にビエルサから薫陶を受ける)

 

ビエルサは私に今まで見たことのないようなビデオを見せてくれた。

始めの頃、私はそのビデオを見ながら寝てしまったのだ。しかし、彼は幸せそうだったのだ。さすがにこれには驚いた。

そこで私は寝ることをやめて、2分間だけは見ようと決心したのだ。お互いに話しあい、私はビエルサに前に進みたいと告げたのだ。その後、ビエルサはわざと私に興味のないビデオを見せていて、私に興味のないことにも目を向けて欲しかったのだと教えてくれたのだ。

 

ビエルサがビルバオの監督に就任した時、彼は昨シーズンのビルバオの試合を全てチェックしたようだ。そして、マルセイユの時も昨シーズンの試合をチェックしてレポートにまとめあげたようだ。

スリリングなサッカー

チリ代表では3ー3ー1ー3で攻撃的でハイプレッシャーなサッカーを展開した。

2012年マンチェスター・ユナイテッドのサポーターたちはビルバオに拍手喝采だった。

 

Inglaはこうも述べている。

ビエルサと共にであれば、魅力的なサッカーをするということを言うことに対して、決して恥ずかしがる必要はない。このスタイルはスペクタクルで攻撃的で勝利可能なスタイルである。彼は私たちのプランを遂行してくれることを信じている。私たちはスペクタクルなサッカーで群衆を興奮させ、驚かせたい。

若い才能を発見し、チャンスを与える。

シーズン始めの試合の平均年齢は23歳であった。その中で26歳が最高年齢だった。

彼は経験ある選手を横に置きながらも若い選手にチャンスを与えるのだ。これはトットナムの監督、ポチェッティーノに影響を与えている。

 

2014年マルセイユ在籍時にビエルサはBenjamin Mendy(マンC)に関して、

冗談を言っているように聞こえるかもしれないが、彼は世界最高のバックスになるであろう

と述べている。そしそ、彼は今シーズン£52mでマンチェスターシティに移籍を果たしたのだ。

 

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ビエルサはなぜ影響力があるのか?前編

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グアルディオラ(マンC)とポチェッティーノ(トットナム)は今シーズン、ライバルとなるのは目に見えている。プレミアリーグのトップを走るが両監督が口を揃えていうことがあるそれは、

 

「ビエルサこそが世界最高の監督である」

 

グアルディオラのメンター、ポチェッティーの父

グアルディオラは2006年に彼の下を訪れている。

 

彼への賛辞は計り知れない。彼はより良い選手を育成する、多くのアドバイスによって選手を助けるのだ。彼はリールで選手、クラブに大きな影響を与えるであろう。

 

 また、ポチェッティーノは彼はアルゼンチンのMurphyという町で生まれ、ビエルサを訪れたのは14歳の時だった。

 

彼は私にとってサッカーの父のようであった。私たちと同じ世代の監督たちは皆、ビエルサの弟子のようである。私たちに備わっている情熱は、彼から受け継いだものである。

 

Jorge Sampaoli (アルゼンチン代表監督)、 Diego Simeone (アトレティコ監督)、Gerardo Martino(アトランタ監督)、 Eduardo Berizzo(セビリアヘッドコーチ)は全てビエルサの影響を受けている。

 

神秘的で予測不可能

ビエルサは多くのファンやジャーナリストから神秘的な存在として見られている。なぜなら、彼の単独インタビューは全くなく、試合前後の記者会見しか彼の意見が聞けないからである。

 

そして、予測不可能である。

イタリア、ラツィオと契約を交わした2日後には契約解除、フランス、マルセイユでは2シーズン目の最初のゲームのあとにまたもや契約を解除している。

 

トロフィーの欠如

彼のトロフィーの少なさから考えると彼は本当に世界一の監督と言えるだろうか。

国内リーグ3度の優勝と2004年のオリピック優勝(アルゼンチン代表)で他のタイトルと比較することができるだろうか。

 

しかし、グアルディオラはこう言っている。

 

私たちはどれだけのトロフィーを獲得したかで評価される。どれだけサッカーに影響を与えたのか、どれだけ選手に影響を与えたかではなくて。私は今だかつて彼から影響を受けたことはなかったという選手にあったことがない。彼は間違いなく、サッカーに、選手に影響を与えているのだ。

 

ベッドルームにエアコンと電源だけ

今年のリールはビエルサの影響でサッカーだけでなく、生活そのものが変わっている。

まず、ビエルサはリールにバンガローを20個、建てることを要求した。

 

ウイングであるAnwar El Ghaziによると、トレーニングはまず10時から行われ、その次は18時半に行われるそうだ。そして、ここで皆で食事を取り、ここで全てのことをするのだという。

この20個のバンガローそれぞれにはベッドルームとエアコン、電気の電源しかないのだ。選手たちがシャワーを浴びたい場合は他の部屋に行かなければならない。

そこで選手たちはプレイステーションやテーブルテニスなどをして共に時間を過ごしているのだ。

 

ビエルサはこう選手たちに問いかけるそうだ。

今日から私たちはファミリーになりたかったのだ。隣合わせで共に寝て、共に食べ、共に遊ぶ。そうすることでファミリーになれる。君たちは兄弟だ。

 

後編に続く。

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