選手が自分を理解する前に、まず先にコーチが選手を理解しろ
リーグで優勝し、CLリーグで勝つことを目的にトレーニングしていけばそれは叶うはず。
そのためには特別なビジョン、特別なプログラム、特別な知識が必要であろう。
魅力的な選手を育成し、トップのパフォーマンスを演じられるようにする。
サッカーとは何かを理解させること、プレーを選択できるようにすること、理想的なコンディションのもと、フィジカル、技術を伸ばしていく。
それを個人個人で追って、その選手にも24時間考えさせることが大切である。
また選手たちはハイテンポなサッカーの中で、様々なバリエーションで、ダイナミックで、イニシアチブが握られたクラブや組織の中で学んで行くべきた。
逆を言えば、そうでなければ学べることは少なくなるであろう。
ハイパフォーマンスの文化とハイテクで豪華なファシリティとは全く関係ない。オランダAZ育成コーチ
いかにビジョンを持ち、プログラムを作り、それを試行錯誤していくか。
いかに選手一人一人と向き合っていくのか。
これが全てのペースとなるであろう。
選手、コーチのマインドを変え、信念を変え、日頃の態度・振る舞いを変えていくのだ。全ては勝つために。
そんな選手に向けたAZの6つの原則
1、始めたからには最後まで、照準をプライスに向けろ
2、自分のハードルを上げろ、そして、高い期待と厳しさをもて。
3、常に向上する余地があるか探せ、そしてそのプロセスにフォーカスしろ。
4、人々に責任を与え、独自の成長とその成長過程の方向性を示せ
5、クリエイティブさと問題解決の思考を刺激しろ
6、アンコンフォータブルを探し、挑戦しろ
オランダ代表ロッベンがブラジルワールドカップのコスタリカ戦で延長前にチームに語ったビデオ。
これは選手がイニシアチブをとり、特別な選手の良い例かも。オランダ語で何言ってるか全く分からないけど。グーグル翻訳で『彼らは壊れている』と訳せましたが。
2014: Netherlands 1-0 Costa Rica
こう言った選手を育成したいということだろう。
AZは選手に向けたものではなくコーチに向けたアドバイス、原則もあるようだ。
1、選手が自分を理解する前に、まず先にコーチが選手を理解しろ
2、選手の底から湧き出る本当のモチベーションを探せ
3、正直に接しろ、言い訳を並べるな
4、具体例を使え
5、成長できることを選手に信じさせろ
6、計画を立てろ。計画ないものに成功はない
コーチとしていくつこれを実行できているであろうか。
これも試合に勝ちたい、トップになりたいという思いからであろう。
ユリアン・ナーゲルスマンから学ぶ Part3
photo:http://www.bundesliga.com/en/
コーチングの30%は戦術的なこと、そして70%が社会的な能力によるもの。
そう述べているナーゲルスマン。意外である。
ナーゲルスマンは戦術の愛好者ではなく、むしろ人のマネージメント、チーム間における心理的属性と共生がより重要だと考えているようだ。
選手たちは選手ごとに異なった方法でモチベートされ、それにそれぞれ対応することが大切。このレベルの選手たちは心理的な側面が良ければきちんと整備された戦術の中でしっかりと良いプレーができることを確信している。ナーゲルスマン
特にシステムについて語られることが多いであろうナーゲルスマンにとってこれは監督という役割において小さな事柄のようだ。
トゥヘル(ドルトムント元監督)の弟子であることから彼のサッカー感が垣間見れる。
私は相手のゴールの近くで攻撃することが好きである。なぜかと言うと相手ゴールの近くでプレーしていればゴールへの道が遠くないからである。スペイン、ビジャレアルのプレーが好きで、彼らは若い選手たちのために素晴らしいコーチング方法を持っている。バルセロやアーセナル、特にベンゲルの仕事、サッカーが好き。ナーゲルスマン
だからと言って彼はポゼッションサッカーの愛好者でもないようだ。
それはデータからも読み取れる。
■2016/2017 ホッフェンハイム スタッツ
ポセッション率:53%
パス成功本数:12241本
前方へのパス:63.8%
後方へのパス:32.2%
■2016/2017 バイエルン スタッツ
ポセッション率:61%
パス成功本数:18438本
前方へのパス:61.8%
後方へのパス:38.2%
データ引用:http://www.squawka.com/news/
こうしてデータで見てみると本当にわかりやすい。
他のデータからも彼のサッカーを発見できるかもしれない。
ナーゲルスマンの探求はまだまだ続く。
合わせて読んで頂ければ幸いです。
ガンバ堂安律 オランダ経由プレミア行き
昨日、ガンバ堂安律のオランダ、フローニンゲンへの電撃移籍が発表された。
PSVやAjaxが目をつけていたようでここにきてフローニンゲンへの移籍である。
フローニングってどこと言った感じであろう。
ようこそ堂安選手!来週フローニンゲンでお会いするのを楽しみにしています!
— FC Groningen (@fcgroningen) 2017年6月23日
@lovelovesoccer5 pic.twitter.com/9k46vPuGuP
彼はオランダで成功できるのであろうか。
フローニンゲンはオランダ最北端でかなりの田舎ですが、逆にサッカーに集中できて良いかもしれませんね。日系企業もありますし、そういった方々のサポートも得て頑張ってもらいたいと思います。
— 川合慶太郎/Keitaro Kawai (@jdreamkawai) 2017年6月23日
オランダは良くステップアップの国と言われているが、そのまま欧州トップリーグに移籍することができるのか、それとも1年後に日本に帰ってしまうのか。期待したい。
普通若い選手が海外に出て壁に当たるメンタルの部分はたぶん彼なら心配ない。成功期待します。
— 河治良幸 (@y_kawaji) 2017年6月23日
オランダ移籍の堂安が意気込み「死に物狂いでやってくる」…新天地の決め手は「熱意」(SOCCER KING)https://t.co/q4IrgBtGhm @YahooNewsTopics
そこで、実際にオランダからイングランド、プレミアリーグにどれくらいの選手が行けるのか、活躍できるのか少し調べてみた。
参考:Transfers per calendar day | Transfermarkt
オランダからプレミアリーグに移籍した人数
19のプレミのチームは7年間で39人の選手と契約を交わしているようだ。
VVV.VenloからSouthamptonに移籍した日本代表吉田選手もこの数に含まれる。
彼もオランダリーグ経由で成功した選手の一人だ。
その他にもLuis Suarez, Christian Eriksen, Jan Vertonghenも成功している選手として名前が上がるだろう。
獲得した各クラブの総数
Southampton, Swansea and Newcastleが上位のようだ。
各ポジションの総数
ミッドフィルダーが最大で7人。
この表からどう解釈するかはそれぞれだが仮に堂安選手がオランダリーグでミッドフィルダー(ウイングよりもトップ下が良いのでは現地メディア)としてプレーし、高いパフォーマンスを発揮し、結果を残すことができれば次のステップとしてプレミアリーグも夢ではないかもしれない。
ハイストラ 「私ならDonaは中盤の真ん中に置く。小さなスペースでこそ彼はベストの力を発揮できる。サイドで大きなスペースに溺れさせることは私ならしない」https://t.co/Qu0ewDHuZr
— Jonge Woud (@jongewoud) 2017年6月23日
争いを恐るな!
コーチとして同じ方法を使わない。違う方法で選手を鼓舞する方法を見つけろ。コーチとしてコーチとしてクリエイティブか。それが上手くいかなかったとしても同じ方法を使うのか。枠を超えて飛び抜けろ。
これはチーム育成のスペシャリストRené Felenの言葉である。彼はロナウド・クーマン(現エバートン監督)などを指導、アドバイスした経験がある。
彼曰く、重要なことはどのように成功し、どのように失敗と向き合うかとうことだ。それは選手も監督も変わらない。
そもそもトップにたつ人物とはどんな人物なのであろうか。
トップの人間はどんなに物事が上手く言ってたとしてもその先を見ているものであろう。どうすればもっと上手くいくであろうと考えているはずだ。そして、それを具体的にどうすれば良いか。突き詰めるはずである。
もしその行動が上手くいかなくても常にチャレンジをして前に進み続ける。リスクを犯し続けるのだ。これを恐ることは一切ない。トップになれない人間はここで恐れる。
チームの発達にはいくつかのステージがあるというRené Felen。
人は皆、生まれ持って心地の良い場所や環境(コンフォータブルゾーン)にいようとする。これはルーティーンワークとして行われる。
しかし、良いチームには常に刺激的で学べる場所が存在する。トップの人間はあえて心地の悪い場所や環境(アンコンフォータブルゾーン)に身を置こうとする。
そこで良いコーチ自分のチームではじめコンフォータブルゾーンを作ろうとする。そして、少しずつアンコンフォータブルゾーンを作り出していく。むしろ提供という言葉が正しいかもしれない。
チームに試練を与えていくのだ。
とは言っても全てのチームが成功するとは限らない。これを知っておくことが大切だ。
チームにはそれぞれアイデンティティーがある。もちろん、コーチたちにもだ。それぞれが尊いものでリスペクトされるべきものである。
ただ、時にそれはどんなことがあっても噛み合わない時がある。
これはお勧め本である。チームとは何かが書かれた最高の本。
ミケルスの「勝つチーム」作り トータルフットボール&バルセロナの原点
- 作者: リヌス・ミケルス,グリーン裕美
- 出版社/メーカー: 東邦出版
- 発売日: 2011/03/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
最後にチームの成長についてまとめておく。
1、チーム全員が礼儀正しい
チーム間やコーチと選手間では全く争いごとはなく、皆が礼儀正しくお互いと接し、チーム内に終始、和やかな時が流れている状態。選手たちはコーチや監督に関して文句を言ったり不満を言ったりすることはない。そこで監督は少しずつ刺激をフィールドで入れていく。例えば『なぜそんなプレーをするの?』と問いかける。
2、方向転換期
チームのベースができた後、ここで初めて争いをする。コーチングを引き金に争いをする状況を作る。多くのコーチはここから逃げ、コンフォータブルゾーンである1の段階に戻ってしまう。なぜ、ここで争いごとをするのかというと、この争いごとによって多くの人が口喧嘩をするはずだ。同時に多くのこと、多くの解決策を考えるはずだ。それがチームに良い刺激、良い状況を作り出す。
3、標準期
Win-winの状況が作られ、争いが解決される段階。それぞれが考えていることが共有され、常に仲が良いというわけではないが結束感がある。ここではチームの約束が決められチームのベースがさらに強くなる。
4、パフォーマンス期
ここが最後のフェーズ。チームがここまで来るとチームはすでに自立している状態である。コーチは少ない指示でチーム全体が動きだし、チームを良くしようとする。本当のチームができる上がるわけだ。
こちらも面白かったので是非!
金満クラブに勝つために
選手オリジナルのプロフィール作り
いつも、ある枠組みから出て考えたい。
その一つに選手を管理したり、成長させるためにオリジナルのプロフィールを作っている。その理由は明確だ。同じ方法ではアーセナルやチェルシー、バルセロナような金満クラブには勝てない。資金力が違いすぎる。
AZ アカデミーコーチ
そもそもクラブ強化の考え方として、金銭力を生かし、それを使って強化する方法。
または、ビジョンやプログラムを成熟させ、選手を育成する方法だ。
オランダのAZというクラブは後者を選択し、それに特別なタイプの選手の育成をするという視点を入れている。この特別なタイプの選手というのは認知能力とゲームインテリジェンスが高い選手のことを指す。
AZでは10年後この能力が最も重要になると考えているようだ。
スペースやボジションを即座に探したり、チームの戦術プランや敵を見てプレーすることができるようにトレーニングを行っている。
また、常にスタイルは変わるという。フォーメーションから戦術まで。コーチは選手からコンフォータブルゾーン(心地よい)を取り除き、意図的にアンコンフォータブルゾーンを作るようにしている。
時には4-4-2、3-5-2でプレーし、高い位置からプレッシャーをかけたり、低い位置からプレッシャーをかけるようにさせるわけだ。それによって選手たちの脳はどんどん成長していく。
トーレニングについて考える時、サッカーのシチュエーションでより複雑になるようにトレーニングを設定する。そして、そこでは常にパスをしろとは言わない。
これはサッカーではないと考えるからだ。サッカーにはドリブルもシュートもある。
新しいシチュエーションをどんどん作りだし、選手の脳を鍛えるのだ。
合わせて読んで欲しい。
Motoric learning(体で染み込ませる)
意図あるトレーニングのもとで選手たちがより効果的に効率的に学び、脳のコネクションを発達させることはより重要であることは明らかだ。
何か道具となるようなものを身につけることはより重要である。
例えばよくあるようなパスをしてトラップするトレーニング。これをすることでなんとなくトレーニングしているかのように思うかもしれない。
しかし、AZではこのようになんとなくトレーニングさせない。
選手たちには最終的に何かを達成させなければならないことを認識させる。
それは、
‘external focus’
キーワードはコーチングのようだ。
こういったトレーニングの際、コーチはパスをする選手にこうコーチングする。
『あなたはパスをしなければならない』
『自分自身がどんなパスをしたのか認識している?』
『パスを受けた選手はゴールに向かい点を取ろうとしていたか?』
そして、間違った選択をした時にはいきなり怒ったりはしない。
『なぜ、その選択をしたの?』
『他にも良い選択はなかった?
『この状況で2対1の状況は作れた?』
こんなコーチングや対話をすれば体罰をしている暇もないかもしれない。
どうやって質問するべきかコーチも常に頭をはりめぐさなければならないからだ。
生物学的年齢と暦上の年齢
AZではU12チームからアカデミーチームがスタートする。
それ以下の年齢は様々な地域でスクールを運営している。もちろんAZのメソッドを使って。
なぜU12以下のアカデミーチームを持たないかというとこの年代においてAZでは20人のベストな選手よりも200人のベストな選手を育成したいと考えているからだ。
そして、彼らは週1回〜2回スクールでトレーニングし、所属する地域のアマチュアクラブで同様にトレーニングし、試合をした方が効率が良いわけだ。
それによって良い選手をスカウトできる可能性がより高まる。
ここでもし予想をはるかに超えて良い選手がいた場合、その選手は常に質問されながらトレーニングしてきたか、年齢の高い選手たちとトレーニングしてきたかのどちらかだと考えられる。
AZでは生物学的な年齢と暦上年齢を分けて選手をプロファイリングしている。
1月生まれと12月生まれでは約1年の差がある。発達著しい子供たちにとってこの開きは多きい。(オランダでは生まれ年でチーム分けしているようだ)。そうなると体が発達しているであろう1月生まれの選手がこのチームで優位に立ってしまうわけだ。この選手は、体が強いだけでAZが大切としている認知能力とゲームインテリジェンスを発達させることが難しくなる。それでは選手を育成できない。
そこで14歳を例にすると、AZでは、週2回、体が発育していれば15、16歳のチームでトレーニングし、小さければ13歳のチームでトレーニングさせて調整を図っているわけだ。そして、このデータはプロファイリングされクラブ、選手の財産になっていくわけだ。
こちらを参考にしてもらえればより理解が深まるかもしれない。
世界はどんどん前に進んでいるようだ。
Raise the bar
あなたは良い仕事をしている?
あなたはいつもハードに働き、選手たちを向上させようとしているはずだ。そして、週末の試合で勝てるようにトーレニングしているはずだ。しかし、その努力の質を客観的に測ることは非常に難しい。
ただ週末の試合に勝ってさえすればみんなが幸せだということは知っているはずだ。
自分の後ろには選手の家族や友達、もしかしたらファンも後ろに立って喜んでいるかもしれない。
そして、皆、声を掛ける。
『よくやった』と
その瞬間は本当に最高かもしれない。
ここで少し想像して欲しい。
あなたは今日の試合で勝ったのはたまたまだと知っていたとしよう。
敵は点を取ることができず、自分たちは誤審によりPKを決めて勝ったのだ。
試合から家に帰る途中、自分自身にこう問うはずだ。
『私は本当に良い仕事をしている?今日もたまたま勝った?』
ここで本題に戻ろう。
もしこういった場面で自分自身について問うことをした人はコーチや指導者に向いている。もしくは、自分自身を成長させるチャンスがある。
みんな知っている。
あなたがチームでコーチングをしている時、高いレベルを保ち続けていることを。おそらく、あなたのレベルは他の誰よりも高いはずだ。全てはあなたの周りにいる人のために。少なくともそう認識しているはずだ。
日々の仕事の中で、どんな時もあなた自身のレベルを高く保ち続けることは難しいということも知っているはずだ。
しかし、これは悪いことではない。自分自身がしていることを知らないことほどひどいことはないのだから。
共に働いているコーチたちもそれが彼らのためでさえあればあなたの高いレベルを注意したり煙たがったりすることはないであろう。高いレベルは高いレベルを生むはずだ。
彼らのレベルとは違うかもしれない。
時にはクラブのカルチャー(コーチたちのカルチャー)はある決まりきった型にはまっているかもしれない。それによって、自分自身のレベルや基準は周りから受け入れられないと感じるかもしれない。
そんな時、気づかなければならない。周りとは違うと。
それはそれぞれバックグランドも違うし、目指している目標も違うはずだから気にする必要はない。
そのコーチたちのレベル、基準は何なのか、自分自身は良い仕事をしているのか、何を目指しているのか。
これを問えば答えは見えて来る。
そして、一緒の席に座って、そのコーチに聞いてみれば良い。自分によって周りのパフォーマンスは上がっているのか?と。もし、自分が考えていたことと違っていたとしてももうパニックになったり、自信を失ったりする必要はない。これをポジティブに捉えなければならない。お互いに意見が違うのだから。この感覚や意見の違いはお互いにとって完璧な学びのタイミングなのである。
そうすることで他の人から見た自分を知ることができるはずだ。そして、そこで自分自身のコーチング理論のwhat,how,whyをについて説明したり、教えたりすることができる。もうわかっているはずだ。
自分自身について人に聞いて見よう。そうすることでリーダーとして、コーチとして必ず成長できる。
Raise the bar...
ジダン 背番号10から監督、そして本当の王様へ
CLリーグで史上初の2連覇を達成したジダン。ジダンはトップコーチなのか?
ジネディーヌ・ジダン?フランスの新将軍 世界最高のファンタジスタ? [DVD]
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 2001/08/24
2014年レアルマドリードはCLリーグを手にしている。当時の監督はアンチェロッティ。アシスタントはそう、ジダン。つまり、ジダンは世界最高の大会で世界最高の監督の一人であるアンチェロッティから父のアドバイスを受けながら優勝を経験していたのだ。
ジダンの監督としてのこんな言葉がある。
私は選手のためにそこに存在し、そして、彼らの話しに耳を傾ける。
試合に関して聞かれると
インテンシティーを高く保ち、選手の能力を最大限に生かすことで上手くいく
この言葉や試合を見てもジダンがトップコーチと言われグラウディオラやモウリーニョのような戦術家とも思えない。状況や相手に合わせて試合中にシステムを変えることも少ない。ますます疑問である。
ではグラウディオラとの共通項はないであろうか。少し探してみた。
■最高の選手であった
■監督として共にBチーム(バルサB、レアル・カステージョ)からキャリアをスタート
■Bチームの後はすぐにトップチームの監督就任
■就任後1年以内にCLリーグ優勝
では他のトップコーチに比べてジダンはどんな違いがあるのだろうか。
■選手としてイタリア、ユベントスでプレー
■モウリーニョのアシスタント
■アンチェロッティのアシスタント
■グラウディオラの元で研修
■ビエルサの元で研修
そんな彼らと交流があったジダン。彼がこう言ったらこれだけで納得してしまうだろう。
究極、試合から試合までのプランニングを行えば良い。もちろん、長いタームで考えようとすることは重要だ。しかし、そこでは何かが起きるであろう。例えば、重要な選手が怪我をしたり。全ては突然、変わってしまう。ジダン
選手からの賞賛も得ている。
なぜかベニテェスよりもジダンの方がより共感できる。彼は本当にジェントルマンだ。C・ロナウド
ジダンからのアドバイスはひとすじのゴールドのようだ。モドリッチ
それでもある戦術分析家によればジダンのレアルに戦術的な革命があるわけではないようだ。グラディオラのバルサでの5秒ルール、バイエルンのノイヤーが11人目のフィールドプレイヤーとしてプレーすること、サイドバックがMFとしてプレーすることなど。
ただ試合に勝ってしまうレアル・マドリード。選手のクオリティーが高いと言ってしまえばそれまでかもしれない。ただ本当にそうなのであろうか。ジダンがここまで来るのにどんなキャリアを積んできたのか決して忘れてはいけない。
監督としてキャリアが始まったばかりのジダン。
彼の旅はまだまだ続く。
Real Madrid Zinedine Zidane - Fastest Counter Attack 2017 | 1080p HD
Real Madrid Under Zidane 2017 ● Best Combinations & Counter Attacks
Real Madrid Plan To Beat Juventus Analysis (UCL) (2017)
ユリアン・ナーゲルスマンから学ぶ Part2
ビデオを観る限り、ホッフェンハイムは3−4−1−2でプレーし、アウグスブルクは4−4−2のフラットでプレーしている。
ナーゲルスマンがなぜこのシステムでプレーしているのかビデオを見れば一目瞭然であろう。さらに下の表をみてお互いの噛み合わせを見て欲しい。
①ビルドアップの際、バックラインで3VS2の数的優位が成立。
②中盤でも同様に3VS2の数的優位が成立。
③さらにアウスブルグの左右のサイドハーフはホッフェンハイムのCBにプレッシャをかけるのかホッフェンハイムのサイドハーフをマークするのかすでに迷わなければならない状況が作られている。
これはたまたま?
こちらも読んで頂ければ答えがわかるかもしれない。
ユリアン・ナーゲルスマンから学ぶ
さてこのユリアン・ナーゲルスマンとは誰なのか。
ブンデスリーガ史上最年少の28歳でホッフェンハイムの監督に就任し、今季はチームを4位に導いたドイツのトップコーチである。
若い監督による革命が始まったドイツサッカー界。シャルケでは来シーズンから31歳の若者が監督の椅子に座る。
まさに革命。
就任後すぐにチームに変化が訪れる。
ブレーメンがビルドアップの際、CBから左もしくは右のMFにバスが出され、そして、彼らはすぐにボールを真ん中に立っている誰かにパスをした。
これは明らかにチームのプランであった。それも相手に勝つための。
ユリアン・ナーゲルスマン
これはホッフェンハイムの攻撃人によって意図的に作られたシチュエーションでブレーメンはここでボールを失うことになる。つまりホッフェンハイムは真ん中でボールを奪えたことになる。
多くの人はこの状況を見て、ひどいボールの失い方だと罵声を浴びせるかもしれない。
しかし、ユリアン・ナーゲルスマンによれば全て予測のもと、意図されたことのようだ。
これを体感した選手たちに何が起きるだろうか。それは自信と監督への信頼であろう。
4-2-2 or 4-3-3を忘れろ
多くのクラブやチームは固定されたシステムであったり、戦い方やプレーモデルを持っている。これにはメリットとデメリットがある。
メリット⇨全ての選手が戦い方を簡単に理解することができる。
デメリット⇨相手にはわかりやすい。
ナーゲルスマンはどうか?
彼はシステムや戦い方を固定しない。よって相手に戦い方を読まれやすくなり、さらには色々な戦い方を可能とすることから試合中に用意にプランを変更することができる。
私たちはバルセロナではない
ナーゲルスマンはシステムを固定はしないが、プレーの原則はしっかりと決める。
例えばどんなプレーの原則か?
⑴横にプレーしない=前方か体格にプレーする。
横に並んだ選手にパスを出そうとしてそれを相手にパスカットされたら、この2人の選手は一気に置き去りにされてしまう。
⑵ワンタッチプレーをしない
選手たちはバルセロナのような選手たちのように必ずしも技術のレベルが高くない。ワンタッチプレーとボールを止めてプレーする場合ではどちらが成功する確率が高くなるであろう。
試合中に手紙を書く
試合中にどうやってシステム変更をするのか。叫ぶ?叫んでしまっては相手に簡単にわかってしまう。それでは意味がない。ではそうするか?選手に小さなメッセージ付きの紙を渡すのだ。それによって選手たちはより簡単に変更の内容を把握、理解することができるだろう。
オートマチックにプレーしない
トレーニングによってオートマチックにプレーすることが良いともされているがそれはトップの世界ではノーかもしれない。なぜなら相手にとっては読まれやすくなるからだ。相手がそのパターンを防いできたらどうなるか?
脳をトレーニングする
ナーゲルスマンも技術や戦術、フィジカルの向上はもう限界まできていると考えているようだ。そこで彼が取り組んでいるのが脳のトレーニンング、つまり状況判断の向上(スピード、問題解決能力、アイディア)を可能とするトレーニングを行っているようだ。
世界最強ドイツサッカーに学ぶサッカートレーニング術: ゲームに勝つための想像力、素早い状況判断、攻守の切り替えが身につく
- 作者: マヌエルラウルセン,Manuel Laurijssen
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2015/06/01
- メディア: 単行本
常に新しいものを。ただそれは少しずつ
なぜ彼らはトレーニングするのか。何に向かってトレーニングするのか。それは勝つため、向上するためであろう。その中でシーズンを通してそれが可能なプランを構築しないといけないと考えている。
彼は監督としてまだ若い。でもそれはもう関係ないだろう。チームが勝ち、観客が興奮さえすれば。彼から学べることはまだまだあるであろう。
C・ロナウドのブレイン
様々な取り組みのもとコーチやスカウトは常にプロの選手たちを育成してきた。
もしくはその選手たちの未来を潰してきた。
オランダのAZというクラブで新しい取り組みが始まった。
子供たちにテレビゲームをさせるというものだ。これがトレーニングプログラムの一つに組み込まれたのだ。
この取り組みはオランダのトップクラブであるPSVというクラブでも実験が進められているようでその名も『プレインプロフィール』。
ここではサッカー選手特有の能力がゲームをすることによってプロファイリングされていくそうだ。
現在、多くのクラブは選択に迫られているはずだ。限られらた時間の中で、最大の効果を出さなければならない。そん中、彼らはこのトレーニングを選んだわけだ。非常に興味深いことである。子供たちが外で遊ぶことが少なくなったと言われている昨今、それでも彼らはテレビゲームをすることを選手たちに課すことを選択したのだ。
ただ、現時点では
トップの選手たちがここにはいるが、彼らはこのテストで低い点である。
これは機能していないことを意味している。
AZ 育成 Paul Brandenburg
こう考えとこれは投資の何ものでもないであろう。しかし、これが成功すればサッカー界に一石を投じることができるかもしれない。
例えば、コーチやスカウトがあの選手は良い選手だと言ったとしても大体がフィジカルに秀でた選手を指されることが多い。この選手が何年後かにトップの選手でいられていることはそう多くはない。
そこでC・ロナウドの面白い動画(22分頃から)をみて欲しい。
Cristiano Ronaldo tested to the limit HD 720p (Full preview)
どうやらロナウドは一般人に比べて予測・予期する力が長けているようである。
暗闇の中(センタリングが上がりボールを蹴る瞬間、電気が消える)でもシュートを決めてしまうというものだ。
技術や戦術、フィジカルのトレーニングはサッカー界に溢れている。
もう国によって大差はないかもしれない。
日本もこの分野に手を伸ばさなければないないのでは?
手遅れになる前に。
ドルトムント新監督の戦術〜香川真司の行方〜
香川真司が所属するドルトムントは6月6日、2016/17シーズン限りで退任したトーマス・トゥヘル前監督の後任に今シーズン、Ajaxの監督であったPeter Bosz(ピーター・ボス)を招聘することを決定。国外での指揮は、イスラエルのマッカビ・テルアビブ(2015/16シーズン)に次いで2度目。また現役時代にはジェフユナイテッド市原・千葉にも在籍するなど、日本のファンにとっても馴染みのある人物かもしれない。就任記者会見ではドイツ語を流暢に話していた。
さて来シーズン、ドルトムントはどんなサッカーを見せてくれるのか。
Peter Boszは今シーズンAjaxをヨーロッパリーグ決勝に導き、Ajaxに新たなる風を吹き込んだと言われている。そのAjaxの戦術をからPeter Bosz(ピーター・ボス)のサッカーを考えたい。
攻撃的で魅力的なサッカーをして、ゲームに勝つこと。これが彼のAjaxでのビジョン。
これを実現するために彼は守備の構築をすることが先決だと考えたようだ。まずはプレッシング(ボールの奪い方)の方法。Ajaxでは昨シーズン、ベストな方法を探すのに時間がかかりシーズン最初は上手くいかなかった。そう考えるとドルトムントでも初めは上手く行かないかもしれない。それでも彼は良いチームを作ることに変わりはないはずだが。
でもなぜ、プレッシングの仕方を先に構築する必要があるのか。
①Ajaxでは60%から70%ボールをボゼッションすることが可能。
↓
②それに伴いカウンターを受ける可能性が高い
↓
③これを防ぐことができれば、失点することが減る
↓
④失点しなければ試合に負けることはない
確かに理にかなっている。監督としてロジカルに説明できることで選手にもきちんと伝えることができるはずだ。
Peter Boszは4つのことから守備を構成しているようだ。
⑴高い位置からのプレッシング
⑵コンパクトを保つ(フィールドを小さくする)
⑶覆うようにマークする
⑷5秒ルール
⑴高い位置からのプレッシング
このゴールはチームの選手の走行距離が一番少なくなる方法を探し出すことであった。様々な方法を試した結果、このチームに一番フィットした方法は、4-3-3でトップ下を置かずMFを逆三角形の形にして、左ウンイグを相手の右CBと右SBの間に立たせることで落ち着いた。(CFWは左CBに、右ウイングは左SBの前に立つというものだ)
⑵コンパクトを保つ(フィールドを小さくする)&⑶覆うようにマークする
守備の時に選手間の距離を10mから12mに保つように移動し、フィールドを小さくし相手を覆うようにマークをする。
⑷5秒ルール
ボールを奪われた瞬間、後ろに下がるのではなく前に進み相手から5秒以内にボールを奪うというもの。これはポゼッッションのトレーニングで常に取り入れられた。
Positional Game - '3v3 + 3 Offensive Jokers'
Positional Game - '3v3 + 2 Offensive Jokers'
攻撃ありきと言われるオランダサッカー界の中で、指導者経験を積んだPeter Bosz。その中で守備から考える彼のフィロソフィー。ドイツ、ドルトムントでも新たな風を吹き込むことは間違いないであろう。香川真司はどう起用されるのか。もしくは起用されないのか。今後もドルトムントから目が離せない。
Ajax Training Session before the UEFA Europa League Final 2017
サイドバックのの効果的な活用
■目的
攻撃時におけるサイドバックのの効果的な活用。
■オーガニゼーション
・フィールドの半分
・1つの大きなゴールとGK、2つの小さなゴールでGKなし。
・5枚×2色のビブス
・十分なボールをGKの横に設置
■方法論
・5対5+GK
・ボールが出たら、すべてGKからスタート
・2番、5番は点が取れる瞬間のみプレーできる。
・相手チームは大きなゴールにシュートすることができる
■コーチング
・どこにボールがあるのか見る、それと同時に常にフリーな状態でプレーに参加する(フリーになる)
・お互いのポジションに注意を払う
・2番、5番は良いタイミングで高い位置にポジションを取る⇒中盤選手とアイコンタクトしてタイミングを合わせる。
・強くて丁寧なパスを出す
・3番、4番は深い位置の選手を探す⇒ボールを受けてサイドに展開することができる選手
■バリーエーション
・守備側のチームに高い位置からプレッシャーをかけさせる
・タッチ制限をする⇒全ての選手がより速くフリーな状態にならなければいけない状況を作るため